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東京酒場漂流記
なぎら健壱
「店の壁には御世辞にも上手いと言えない字で書かれた書(?)が、額に入って掛けられている。大往生の親父さんが書いたもので、そこには、
『人生−酒=ゼロ』
と有る。なんと破天荒でメチャクチャな割に、うれしい言葉であろうか。(中略)
久しぶりにこの言葉を目にしたとき、モンゴルの諺『飲めば死ぬ−−飲まなくても死ぬ』という言葉が、親父さんの大往生と重なってぼくの頭に浮かんだ。」(「人生−酒=○」より)
前回と同じ漂流記続きだが、こちらは酒場の漂流記。夜な夜なの飲み歩きが一冊の本になるとは誠にうらやましい限りだが、マニアックでもスノッブでも蘊蓄たれでもなく、あくまで自然体で、それぞれの店への愛情と思い入れが素直に伝わって来る。内容に応じて文のタッチを変えるなど構成にも飽きさせない工夫があり、出張帰りの新幹線で一気に読み切ってしまった。読んでいると、それぞれの店で馬鹿話をしながら飲んでいる著者の姿が脳裏に浮かんで来るようだ。細か過ぎず、程よくユルい感じで描き込まれたイラストでのお店紹介もなかなかイイ感じ。
「まあそうした店を探して歩くのが好きなんですよ。一見の店に入り、これが自分に填まる店だったとき、呑兵衛冥利につきるってもんなんですよね。ということは裏を返せば、自分の好みの店というものはやはり無理強いするもんじゃないのかな。自分の填まる店を自分の足で探す、これにつきますな。」(「文庫版あとがき」より)
(2004/3/3更新)
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