酒本舗
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三月の酒と本(三)

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最近飲んだ酒 近頃読んだ本
濁河

濁河(岐阜)
純米にごり酒
300ml/470円


乳酸菌飲料を思わせる純米仕込みのにごり酒。とろりとした飲み口でコクがあり、米と麹の風味が口の中に広がる。データ的には日本酒度-4と甘口タイプではあるが、くどさがないため大層飲みやすく、なめらかで味わい深い。但しにごり酒というヤツ、口当たりが良くついつい杯が進むため、調子に乗って飲むと後でエラい目に合うので要注意。
ちなみに蔵元の老田酒造店は、飛騨高山で1720年頃に創業したという老舗。酒銘は御嶽山の七合目、日本一高い処にある濁河(にごりご)温泉にちなんでいる。

近藤勇白書

近藤勇白書
池波正太郎

「顔をあげて何かいいかけた沖田総司が顔をゆがめて、がっと血を吐き出した。
『あっ・・・・』
勇、愕然とした。
『そ、総司・・・・』
志士たちは廊下から階下へさらに二階の窓や物干場から中庭や戸外へ・・・・それぞれに脱出をはじめている。
『だ、大丈夫』
沖田は、勇の腕をはらい、よろりと立った。」
(「戦火」より)

「新選組!」を初回から見続けていて、どうしても馴染んで来ないのが香取慎吾の近藤勇ではないだろうか。別に香取君の演技がどうこういうつもりはない。あまりに二枚目で愛嬌があり過ぎるため、これまで史実や写真で見聞きして来た近藤勇のイメージと、いつまでも重なって来ないのである。「もててもてて困っちゃうなあ」などと知人への手紙で自慢したほど男前だった土方と違い、実際の近藤はまさに鬼瓦みたいな顔なのだから。
それはさておき、本書は先に読んだ「幕末新選組」と同工異曲とも言うべき作品。局長としての生き様だけでなく、良き家庭人としての近藤勇が情感豊かに描かれているのがいかにも池波作品らしい所である。

「つねがとめる隙をあたえず、編笠を取った勇が、すっと立ち上ったかと重うと、もう、勝手口の外へ出ていた。
『あっ・・・・』
つねは、狼狽し、外へ走り出ようとした。
『かまうな。すぐに、また来る』
『あ、あなた・・・・』
はだしで走り出たとき、勇は植込みの向こうの枝折戸を開け、小さな門から出て行ってしまっていたのである。
この夕暮れの一時が、近藤夫婦の永別となった。」
(「挽歌」より)


(2004/3/12更新)

 
飛良泉

飛良泉(秋田)
山廃純米酒/生一本
1800ml/2730円


秋田産の美山錦を100%使用した、精米歩合58%の特別純米。山廃仕込のイメージからすれば意外と淡麗だが、飲み口はふくよかで引き締まった味わいの辛口。程良い酸味とコシの強さが特徴となっている。最初はぬる燗、その後よく冷えたのを飲んでみたが、温度の違いがあまり味に影響しないタイプのようで、どちらも旨かった。肉料理にも魚料理にも合わせやすく、食中酒としてはおススメである。
ちなみに蔵元の飛良泉本舗は室町期の創業(1487年)で、秋田では最古、全国でも三番目に歴史のある老舗。元は廻船問屋で酒造りは副業だったが、明治初期より本業とし、以来頑なに山廃造りへのこだわりを貫き通している

   

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