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新選組血風録
司馬遼太郎
「近藤はその頭上へ二ノ太刀をふりおろし、頭をたたき割った。刀は、うそのように相手の脳骨へ吸いこまれた。
(斬れる。さすがは虎徹だ。・・・・・)
ほとんど、手ごたえもない。しかも竹刀よりもはるかにあつかいやすく、撃ちのすさまじさは、胴田貫に似ている。
刀は、持ち手によって魔力をおびるものだ。
斬れる、と信じたとき、近藤はおそらく実力以上の使い手になっていた。」(「虎徹」より)
「司馬史観」という言葉がある。これは単に“司馬遼太郎の歴史観”という言葉以上に、司馬遼太郎がどう描いたかによって、歴史上の人物や事件に対する国民の評価が大きく左右されている“現実”を炙り出す言葉でもある。その一例が「竜馬がゆく」であり、「燃えよ剣」であろう。司馬の筆によって、龍馬は新しい時代の扉を開いた天衣無縫のヒーローとなり、土方は滅びゆく時代に殉じた哀しき英雄となり得た。同時に新選組も、維新史における安住の地を得たのである。
さて新選組を題材にした15の短編集という体裁を取った本書では、有名無名の隊士達の生き様が、小説的巧緻に彩られながらいきいきと描かれている。しかし全編通して読み進むにつれ、個々の楽器の音色が重なり合い、共に響き合いながら複雑な交響楽が奏でられていくように、やがて一本の骨太な“新選組史”が脳裏に編み上げられていくかのようである。
なおついでながら、大島渚監督の「御法度」は、本書中の「前髪の惣三郎」が原作となっている。
「あらためて加納惣三郎の顔をみた近藤と土方は、息をのむ思いだった。男で、これほどの美貌があるだろうか。
まだ前髪を残している。
眼が切れのながい単のまぶたで、凄いような色気がある。色が白く唇の形がうつくしい。
『加納君は、おいくつになられる』
『はい。十八になります』」(「前髪の惣三郎」より)
(2004/3/27更新) *司馬遼太郎のその他の本:
大盗禅師/城をとる話
宮本武蔵
侍はこわい
以下、無用のことながら
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