酒本舗
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四月の酒と本(六)

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最近飲んだ酒 近頃読んだ本
呉春

呉春(大阪)
本丸(本醸造)
1800ml/2100円


大阪は池田の蔵元。元々歴史的に見ると、江戸期に灘酒が興隆するまでは、池田・伊丹こそが日本を代表する酒処であり、その歴史は室町期にまでさかのぼる。
さてこの呉春。谷崎潤一郎が愛飲した酒としても知られ、吟醸クラスとなると幻の酒としてなかなか入手できない。その中にあって本丸は、大阪府下のちょっとした店なら比較的出会える機会が多い。穏やかでクセがなく、それでいてさりげない旨味もある、日常酒としてはコストパフォーマンスの良い酒。

卒業

卒業
重松清

「何月だったっけ、おまえが学校に戻ったの」
「十月。運動会のちょっとあと」
「三ヶ月以上かかったんだよな」
「うん・・・・・でも、三ヶ月かかったおかげで、うち、一生ぶんの『好き』をお母ちゃんから貰うたけん。シャワーみたいに、好き好き好き好き好き・・・・・毎日毎日、言うてくれたんやもん。うち幸せ者やと思う。世界中で、こんなに自分の親から『好き』を言うてもろうた子、絶対におらんもん。うち、世界一幸せな女の子なんよ」
(「まゆみのマーチ」より)

近頃娘が重松清にはまっていると云うので、試しに借りてみたが、プロフィールを見ると私とほぼ同年代、青年期にくぐって来た世相や文化が共通しているせいか、すんなりとその世界観に溶け込めた。
中身は、親の死と家族の絆をテーマにした4つの短編集。昨年家内が母親を亡くし、私の母親も脳手術で生死の境を彷徨ったせいか、細かい描写に妙にリアリティを感じてしまい、つい涙腺が緩む。娘も泣いたらしいが、たぶん私とはその受け止め方は違うだろう。

「霊柩車の扉が開いた。棺がレールに乗せられた、そのときだった。
『先生!』
野太い声が、人垣の後ろのほうから聞こえた。顔はわからない。声に聞き覚えもない。だが、それは確かに父の教え子の声だった。
その呼びかけが引き金になったように、誰からともなく『あおげば尊し』を歌いだした。」
(「あおげば尊し」より)

(2004/4/29更新)

 
峰乃白梅

峰乃白梅(新潟)
本醸造
1800ml/1900円


越乃寒梅雪中梅と並ぶ越後の「三梅」の一つ。創業から350年余、品質面で頂点を目指して「峰」を冠し、「白梅」のような格式ある酒にとの願いを込めて「峰乃白梅」と名付けたとのこと。
コクとキレのバランスが程良くとれた、飲み飽きしない典型的な新潟の淡麗辛口。和食の懐石コースと一緒に注文したが、刺身、焼物、煮物、揚物等どのような料理とも合わせやすく、とりたてて個性はないが、安心して飲める酒である。

   

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