酒本舗
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五月の酒と本(四)

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手取川吟

手取川吟(石川)
大吟醸・本流
720ml/1942円


手取川とは、加賀平野を流れる川の名前であるが、日本酒党にとっては「えっ、実際にそんな名前の川があるの?」という位、加賀を代表する酒銘としての方がおなじみかも知れない。全量特定名称酒で、全製品の平均精米歩合49%という数字が、この蔵の酒質の高さを物語っている。
さてこの大吟醸本流も掛米・麹米共に山田錦を使用し、精米歩合は40%。香りは華やかで、口に含んだ瞬間はスッキリ系の飲みやすいタイプに思えるが、飲み進むうちに味わいの豊かさが口中に広がり、思わぬ奥の深さを感じさせてくれる。喉ごしのキレの良さと、後を引く余韻のバランスも絶妙。

オモロイやつら

オモロイやつら
竹本浩三

「さーえらいこっちゃ。チンがどアップで全国に放送されてしまった。別風景へ逃げようとするカメラを鶴瓶はなおも掴んで離さず、執拗に股間を写させた。」(第9章「笑福亭鶴瓶」より)

著者は吉本新喜劇の脚本を700本以上手がけた上、舞台、テレビ、ラジオの演出を5000本以上こなして来たという、本の帯の表現を借りれば「吉本の“ぬし”みたいなオッサン」。西川きよし・ヘレン、花菱アチャコ、今いくよ・くるよ、藤田まこと、トニー谷、宮川大助・花子、人生幸朗、桂文珍、笑福亭鶴瓶、伴淳三郎、レツゴー三匹、林正之助・吉本せいの総勢12組に関する様々な珍談・エピソードが紹介されている。
息抜きとしてはちょうどお手頃な本ではあったが、約200頁の新書で12組分詰め込んでいるため、1組あたりに割ける誌面はわずか16頁。という訳で、“ぬし”と呼ばれる人が書いたエピソード集としては、随分と物足りない感じが否めなかった。でも実際は、ここに書けないディープで危険な逸話を一杯知っているのだろうね、こういう人は。

「昭和十三年、吉本せいは念願の大阪の象徴『通天閣』を三十一万円で買い取った。これには亡夫泰三との積年の思いがあった。いつかあの通天閣を買い取り大阪の全演芸場をテッペンから俯瞰してみたい。その時こそ吉本が寄席の天下を取った時。『大将(せいは泰三のことをそう呼んだ)に一回でよろしいさかい、ここからの大阪を見せてあげたかった』と泣いたという。」(第12章「林正之助・吉本せい」より)

(2004/5/18更新)

 
 
   
   

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