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メディアコントロール
ー正義なき民主主義と国際社会
ノーム・チョムスキー著/鈴木主税訳
「そして民主主義社会のもう一つの概念は、一般の人びとを彼ら自身の問題に決してかかわらせてはならず、情報へのアクセスは一部の人間のあいだだけで厳重に管理しておかなければならないとするものだ。
そんな民主主義社会があるかと思われるかもしれないが、実のところ、優勢なのはこちらのほうだと理解しておくべきだろう。」(「メディアの役割」より)
米国の外交政策や政治行動を率直かつ激烈に批判することで知られるチョムスキー。あの9・11以降からは特にその発言が注目され、この人のインタビューや講演会を中心に構成したドキュメンタリー映画まで出来た程。76歳にして舌鋒衰えずといった感じだ。
本書では、冒頭に提示された二つの「民主主義社会」の概念が興味を惹く。一つは人々が自分達の問題を自分達で考え、その決定に一応の影響を及ぼせる手段を持ち、情報へのアクセスが開かれた教科書通りの民主主義社会、そしてもう一つが上に引用した統制的な民主主義社会だ。一昔前の共産主義国家の様なイメージだが、実際今回のイラク戦争にしても、少し前の湾岸戦争にしても、常に情報は一般大衆から遠ざけられ、世論はメディアを通じて巧妙にコントロールされた印象がなくはない。自由に人々がものを言っていながら、実は巧みに気分や空気が一つの方向に流れる様誘導されている世の中って、何とも薄気味悪い気がする。
「人びとをコントロールする最良の方法は恐怖を利用することです。だから、もしも我々を滅ぼそうとしている『悪の枢軸』が存在するならば、人びとは恐怖に怯えて四の五のいわず、指導者のいうがままになり、指導者が人びとにしていることにいちいち神経を尖らせることはあるまい、とこのように考えているのです。」(「インタビュー 根源的な反戦・平和を語る」より)
(2004/7/4更新)
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