酒本舗
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七月の酒と本(三)

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最近飲んだ酒 近頃読んだ本
山吹極

山吹極(山形)
生もと純米無濾過原酒平成12BY
1800ml/2468円


「上級者向食中酒」とラベルに書かれた山吹色の古酒。蔵元の姓が「浅黄」というとても珍しい名前で、おまけに酒の色が山吹色であったことからこのような酒銘が付けられたとの事。
生もとで無濾過、おまけに3年以上寝かせた古酒ということから、かなりクセのある通好みの味わいを連想していたが、ひねた感じはほとんどなく、濃厚ではあるが意外に飲みやすい。特にぬる燗にすると一段と引き締まった飲み口となり、濃い味の料理と合わせる食中酒としては絶品である。

隠し剣秋風抄

隠し剣秋風抄
藤沢周平著

「血をふき取った懐紙を、左十郎の死体のそばに捨てると、甚六は立ち上がってあざやかな手つきで刀を鞘にもどした。
快い酔いが身体を駆けめぐっている。少し飲み足りないが、気分は上上と言えた。
『さて、次は稲垣の屋敷だ。ケリをつけてやるぞ』」
(「酒乱剣石割り」より)

「隠し剣」シリーズ、孤影抄八編に続く九編の短編集。前回二冊分まとめて紹介しようとも思ったが、もったいないから二回に分ける事にした。
酒乱、偏屈者、好色漢、盲目の剣士など、今回も多士済々の“剣豪”がギリギリの場面で秘剣の技を繰り出し、己の尊厳と誇りを守ろうとする。その剣技の描写自体もちろん魅力ではあるが、そこに追い込まれるまでのプロセスが毎回変化に富んでいて飽きさせない。作者本人もあとがきの中で「小説の締切りは、たいていは苦痛と一緒にやって来るのであるが、その意味では、この中の何篇かはめずらしく楽しみながら書いた」 と記している。藤沢周平ほどの作家が楽しんで書いたのだ。読んで面白くない訳がない。

「奥富は、上意とひと言告げると、片膝を立てて抜き打ちに庄蔵に斬りかかった。坐ったまま庄蔵は捩るように上体をかたむけて、奥富の迅い剣をかわした。そしてかわされて前に傾いた奥富の胸を、眼にもとまらぬ小刀の動きで刺していた。蟇は死んで動かない虫は食さないという。庄蔵も、奥富初之丞が動きを起こすのを待っていたのである。庄蔵の剣はさながら鈍重な蟇が一閃の舌先で翔ぶ虫を捕らえたのに似ていた」(「偏屈剣蟇ノ舌」より)

(2004/7/17更新)

 
御代栄

御代栄(滋賀)
しぼったそのまま一番酒 垂れ口
720ml/1528円


忍者の里として名高い滋賀県甲賀郡の酒蔵。蔵出しの風味をそのまま瓶詰めしたしぼりたての生原酒で、フレッシュな香りとまろやかな口当たりを持つ、御代栄の人気商品である。デパートやコンビニなどでもよく置かれているので、フレッシュなイメージの白い包装に心惹かれ、ついつい買って帰った事のある人は多いだろう。
まったりと濃厚な口当たりがいかにも垂れ口であるが、よく冷やすと辛口、少し時間を置いて温度が上がると甘口になり、温度変化による味わいの違いが楽しめる。

   

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