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三千盛(岐阜)
純米
1800ml/2867円
先頃読んだ「蕎麦屋酒」で紹介されている浅草「蕎亭大黒屋」で、独り蕎麦屋酒を楽しむ。まさに“忙中閑あり”の濃密なひととき。
さて一杯目には田酒・特別純米酒、二杯目にこの三千盛を注文。日本酒度+9、酸度1.8のほのかな旨味のある辛口で、味わいは豊かながら喉越しが軽く飲みやすい。純米酒であるのに精米歩合が45%と大吟醸並であり、きれいな飲み口をもたらした要因の一つが、このしっかり磨いた米にあるのかと思わず納得。
ちなみに当夜は蕎麦切りは品切れ。それでも風味豊かな蕎麦掻きと、カリカリした食感が心地よい蕎麦焼き味噌、そしてなめらかな味わいのとろろ蕎麦飯を肴に大満足の一夜であった。
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江戸そば一筋ー並木藪蕎麦そば遺文
堀田平七郎
その朝、柳橋(台東区)の自宅で、私は病床の親父の枕元に座り、いつものように「行ってきます」と挨拶をすると、親父は「木鉢とタンポ(辛汁を入れて湯煎するための素焼きの壺のような容器)に気をつけろよ」と、ボソッと言ったのです。その夜、親父は帰らぬ人となりました。(第一章「そば屋の仕事」より)
左の欄に書いた「蕎亭大黒屋」で蕎麦屋酒を飲んだ翌日、開店間もない午前11時半近くに浅草の並木藪蕎麦へ行った。一番乗りだ。大正二年(1913年)の創業以来江戸そばの味を守り続けているこの店は、つゆの辛さでも有名である。つゆに蕎麦の先だけちょいと浸して食うのが江戸の粋とよく聞くが、どっぷり浸けると辛すぎて旨くない、というのが真相らしい。本書でも「私の店のつけ汁(辛汁)は辛いですから、そばはつゆに三分の一ほどだけつければよいのです。しかし甘口の汁でしたら、たっぷりとつけて召し上がらないと、やはりおいしくないと思います」と書いてある。
ただ実際食べてみると、確かに辛いことは辛いが、さすがに出汁の風味の効いた辛さであり、ちょっと多めに浸してもなかなか美味しい。もちろん仕上げの蕎麦湯で薄めても絶品。これで酒が飲めたら最高だったが、午後から打合せが控えていたので、ぐっとこらえて我慢我慢・・・。目の前で、午前中から旨そうに蕎麦屋酒を飲む初老の男性が、これ程うらやましく思えた事はない。
暖簾大事とよくいいます。暖簾大事ということは、お店大事ということで、商品大事ということです。一つひとつの商品は自信を持って出さなければいけません。それには、やはりそれだけの注意を払わなければいけないということなのです。そばがきにしてもそうです。簡単なようですけど、それだけにむずかしいのです。ですから、少し手があいたときに、注文があれば受けますが、品書きには書き出していません。(第二章「そば屋の技術」より)
(2004/9/6更新)
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