酒本舗
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九月の酒と本(三)

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最近飲んだ酒 近頃読んだ本
赤野

赤野(高知)
純米吟醸無濾過生原酒
720ml/1480円


近頃人気の赤野は、我が阪神タイガースのキャンプ地である安芸市の、鮎が旨いことで知られる赤野川のすぐ近くに井戸を掘り、仕込水にしている小さな蔵で醸されている。今回飲んだ純米吟醸生原酒は、原料には、入河内(にゅうがうち)の農家と契約して作った高知産酒造好適米「吟の夢」を使用。無濾過の原酒でありながら飲み口は柔らかで、口中にふわりと広がる豊かな米の風味が大きな特徴である。程よい辛口のふくらみのある味わいは、やや濃いめの料理にもぴったり。開栓して日を置くにつれて旨味が増すタイプの酒である。

千尋の闇

千尋の闇
ロバート・ゴダード著/幸田敦子訳

わたしにはできそうにない。正解のない学問に馴らされ、雇われて他人のために働き、みずから行動したことのないわたしには。しかしそれは、思考以前の、まさに刹那の行動だった。とうのむかしにこの世を去ったまだ見ぬ真の友のため、生涯この一度きり、だが二度と覆されることなく、わたしは形勢を逆転させた。(下巻「第9章」より)

ゴダードは、二月に読んだ「蒼穹のかなたへ」以来2冊目。読み出すと頁を捲るのも待ちきれない程で、まさにやめられない止まらない状態。そう言えば、かつてスコット・トゥローの「推定無罪」を読んだ時もこんな感じだったよなあ、なんて思い出す。それにしても、これほどに重厚な面白さを持つ小説がデビュー作とは、ただ驚くばかりである。
「蒼穹のかなたへ」同様、本作もどこか敗残者の影を帯びた主人公が、謎に導かれ、また翻弄されながらより大きな謎を呼び起こし、結果的に自らの人生を購っていく物語。過去と現在の二重構造となった複雑なプロットながら、読み手を混乱させず一気に結末まで引き込む筆力はさすがと言うしかない。こりゃ、他の作品も読まねば・・・。

まずは、この本を閉じねばならない。あなたとわたしのこの本を閉じ、それとともに、時を越えた知己たちの世界をも閉じねばならない。外では、夕闇が手招きしている。あのなかへ踏み込んでゆくことは、冒険であるにちがいない。あなたならどうするだろう?いや、答える必要はない。もはや、決めるのはわたしだ。(下巻「第10章」より)

(2004/9/15更新)

 
 
 

 

   

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