酒本舗
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十月の酒と本(一)

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最近飲んだ酒 近頃読んだ本
大山

大山(山形)
特別純米ひやおろし
1800ml/2520円


春までに仕込んだ酒を夏の間に蔵内で熟成させ、外気と蔵の温度が同じ位になる秋に出荷する酒を「ひやおろし」という。春頃に出回るしぼりたてより味が乗っていて、かつフレッシュさもキープしている、この時期だけのうれしい酒だ。
さてこの大山特別純米ひやおろしは、原料米「雪化粧」を60%磨き、酵母には地元の山形酵母を使用。香りに派手さはないが、料理に良く合うさらりとしたスッキリ系辛口。今回は程よく冷やされた状態で飲んだが、ぬる燗にしても美味しく飲めそうな味わいである。

神々に告ぐ

神々に告ぐ(上)(下)
安部龍太郎

義輝が気の毒そうな目を向けた瞬間、前嗣の身に思いもかけぬことが起こった。義輝の胸中がこれまでになく明確に、まざまざと分かったのである。
それは察するとかおもんぱかるという程度のことではない。義輝が何を考え何を隠しているか、心の中が手に取るように読めたのだった。
(読心術か・・・・・)
(第六章「将軍出陣」より)

安部龍太郎の「戦国三部作」の第一弾。時代背景はちょうど信長の若い頃、剣豪将軍として名高い足利義輝の時代で、主人公は関白・近衛前嗣、敵役が松永久秀・・・と、こんな風に並べてみても、歴史好きでなければ、信長以外はあまりなじみのない顔ぶれだろう。それも主人公がお公家さんとなると、なおさらである。でもそこを最後まで読み切らせてしまう所が、作者の力量なのだろう。前回の「霍光」同様、マイナーな実在人物を主人公に据え、有名どころを脇に置いたスタイルの佳作である。
著者は、スケールの大きな伝奇小説の大家・隆慶一郎が、最後に会いたがった新進作家(当時)と言うのが出版社の売り文句であったが、天皇(帝)に神秘性を持たせ超能力と微妙に絡ませる辺りは、隆氏未完の大作となった「花と火の帝」を思い出させる。

「敵にも一人くらい気骨のある者がいなければ、戦はつまらぬものでござる。弾正どのも侘住まいなどなされず、手強き相手となって下され」
信長は馬にぴしりと鞭を入れると、雨に煙る都大路を蹄の音も軽やかに駆けていった。
久秀はふと、都への道をもっとも早く駆け戻ってくるのは、あの若者かも知れぬと思った。
(第十二章「晴信造反」より)

(2004/10/1更新)
*安部龍太郎のその他の本:
「海神−孫太郎漂流記」「生きて候」

 
上善如水

上善如水(新潟)
吟醸
1800ml/2650円


入門酒としては最適の酒で、十数年前にこの銘柄が出始めの頃は、この“水の如き”飲み口が大いに気に入り頻繁に購入したものだ。近頃はとんとご無沙汰であったが、近所のコンビニで見かけて久々に飲んでみた。
一時人気が出過ぎた頃は、味わいが落ち薄味と苦味ばかり目立ったが、今回はなかなか美味しく戴くことができた。相変わらずさらりと飲めて、香りもまずまず。酒通にはあまりウケがよろしくないが、若い世代に日本酒の存在を再認識させてくれたことの功績は大きい。

   

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