酒本舗
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十月の酒と本(四)

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最近飲んだ酒 近頃読んだ本
翠露

翠露(長野)
純米吟醸中取り袋しずく生酒
1800ml/2940円


「翠露」は信州は舞姫酒造による限定流通銘柄。純米吟醸の生酒で袋しずくの搾りで、おまけに「中取り」。それでいて一升瓶3千円未満なので、コストパフォーマンス的には申し分なしの酒。華やかな果実系の上立ち香は、一瞬食前酒タイプの濃醇甘口かと思わせるが、飲み口はバランスの良い中辛。キレもあるから食中酒にもOKである。
ちなみに当夜は筋子おろし、いかの丸焼き、おから等をつまみながら、翠露の他に「東洋美人」純吟ひやおろし、「洌」純米、「田酒」特別純米の計四合も飲んでしまったため、帰りの新幹線で爆睡して危うく車庫に入るところだった。

闇に浮かぶ絵

闇に浮かぶ絵
ロバート・ゴダード著/加地美知子訳

予想だにしなかった状況のなかに投げこまれたウィリアム・トレンチャードが、あの外見上はなんら異常のなかったセント・ジョンズ・ウッドの日曜の午後に端を発した事件について、手記を書きはじめたのはそれから六週間後だった。そうした手記を書いた理由は、それによって真実を暴露できると信じたからであり、それと同時に、彼自身書かずにはいられない気持ちに駆りたてられたからだった。(第一章より)

つい先日東京から大阪へ戻る途中、新幹線が台風の影響で立ち往生し、約9時間半にわたって缶詰にされてしまった。ニュース等で何度も見聞きしていた他人事の災難が、とうとう自らに降りかかってきたわけだ。
もう二度とこんな目には遭いたくないが、唯一良かったことと言えば、じっくりとこの上下巻の長編が読み通せたこと。これまでの人生で最大の繁忙期を過ごしている昨今を考えると、仕事ができないあの軟禁状態はある意味天恵だったかも知れない。
さて内容は、19世紀のロンドンを舞台に、自殺したはずの准男爵家の跡継ぎが11年の時を経て戻ってきた・・・。ゴダードならではの卓越したプロットが冴えわたる、ゴシック・ミステリーの傑作である。ただ個人的感想としては、この前読んだ「千尋の闇」の方が上かな。

彼の言ったとおりだった。彼のせいですべてを失った。私が失うものはもう何も残っていなかった。その同じ瞬間に、私たちはたがいに相手の心を読んだにちがいない。彼が私のほうへ足を踏みだすと同時に、私が引きがねを引いていたから。(第十一章より)

(2004/10/23更新)

 
 
 

 

   

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