酒本舗
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十一月の酒と本(三)

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最近飲んだ酒 近頃読んだ本
自然郷さわやか

自然郷さわやか(福島)
特別本醸造
1800ml/不明(2000円前後?)


横浜伊勢佐木町で宿を取った夜、吉田町の「長八」という居酒屋に入った。鱈ちり一人鍋、お造り(鮪/かんぱち)、春巻、小鉢(ザーサイ)に地酒飲み放題(2時間)が付いて何と2940円。「ホントに飲み放題?」と店の人に思わず確認した程だった。
さてこの夜試した酒は全部で5種。最も好みに合ったのがこの「自然郷さわやか特別本醸造」であった。さわやかと名が付くからには淡麗スッキリ系かと思いきや、琥珀色した熟成香のある本格派好みの雰囲気。これは期待できるかも・・と一口飲んでみると、しっかりどっしり味の乗った酒質。飲み応えのある深い飲み口だ。
ちなみに当夜に飲んだ他の四種は「一ノ蔵無鑑査本醸造」「秋田晴古式純造り」「飛良泉山廃本醸造」「朝日山千寿盃」。これに「自然郷」2杯で計6杯を満喫した次第。飲み放題でなきゃここまで飲まなかったなあ。

大いなる眠り

大いなる眠り
レイモンド・チャンドラー著/双葉十三郎訳

「急ぐことはないさ。これは前からきまっていたことなんだ。ラジオのプロみたいに一秒間の狂いもなくけいこしてあったことなんだ。急がないでいい。キスしてくれ。銀髪(シルヴァ・ウイグ)」
私の口の舌にある彼女の顔は氷みたいだった。両手をあげ、私の頭を抱くと、くちびるに、彼女は接吻した。くちびるも、氷みたいだった。
(第28章より)

「長いお別れ」に続くチャンドラーの再読であるが、こちらは1939年に書かれた記念すべき長編第一作。作中でマーロウはまだ三十三歳と若い。そのせいか、口にするセリフも心なしか含蓄が少なく、ストーリー自体もインパクトが少ない。仮に今、何の予備知識もなくこの作品で初めてチャンドラーと出会ったとすれば、以後の作品に手が伸びなかったかもしれないなあ。
ちなみに本作はハンフリー・ボガート主演で映画化されているが、邦題はなぜか「三つ数えろ」(このタイトルはあんまりでしょう・・・)。機会があれば観てみたいが、ストーリーは原作とかなり違うらしい。

死んだあと、どこへ埋められようと、当人の知ったことではない。きたない溜桶の中だろうと、高い丘の上の大理石の塔の中だろうと、当人は気づかない。君は死んでしまった。大いなる眠りをむさぼっているのだ。そんなことでわずらわされるわけがない。油でも水でも、君にとっては空気や風と同じことだ。君はただ、大いなる眠りをむさぼるのだ。(第32章より)

(2004/11/15更新)

 
       

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