酒本舗
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十二月の酒と本(三)

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最近飲んだ酒 近頃読んだ本
沢の鶴

沢の鶴(兵庫)
米だけの酒冬です初生原酒新米仕込み
300ml/300円


忙しすぎて飲みに行けないし馴染みの酒屋にも行けないので、近頃は専らコンビニ頼りである。賀茂鶴、菊水、土佐鶴の生貯蔵酒や人気の上善如水が並ぶ中、近頃気に入って購入しているのがこの沢の鶴の初生原酒。大手蔵のコンビニ向け量産酒にしては、結構搾りたての風味が感じられ、これなら同レベルの地酒と並べてブラインドで飲んでも遜色ないだろう。飲み口はやや甘く、程よいコクもあり、原酒といっても度数は16〜17度未満なのでそのままでも飲みやすい。実力のある大手蔵が、この価格帯にこのレベルの酒をもっと出してくれれば、我が地元の灘酒のイメージももう少し上がってくれると思うのだが・・・。

壬生義士伝

壬生義士伝
浅田次郎

「許してくれ。わしは吉村を見殺しにした。一国と替えてでも殺してはならぬ、かけがえのない男の命を、見殺しにしてしもうた。とり返しのつかぬ退却をしてしもうた」
慟哭するわしを扶け起こし、子供は着物の袖で瞼を拭うてくれた。
「泣かねえで下んせ。南部も会津もこたびの戦には敗け申したが、決して賊軍ではござりませぬ。ともに義のために戦い申しました」
(下巻/p.85)

大河ドラマで新選組にハマった高校生の長女にせがまれ、先月末に二人で京都に出かけた。高台寺から二年坂・産寧坂をぶらぶら歩き、霊山歴史館で「大新選組展」を観て、龍馬の墓参りの後壬生へ足をのばして前川邸、八木邸(新選組屯所跡)、壬生寺を見学した。特に八木邸の中は往時のまま残っており、今後小説を読む際に情景を浮かべやすくなるからありがたい。(但し不要な講釈付の見学料1000円は高すぎ・・・。)
この「壬生義士伝」も娘に薦められて読んでみた。いかにも「ハンカチをご用意下さい」的なので日頃は敬遠気味の浅田次郎ではあるが、結局きっちり計算通りに泣かせ所を素通りできず、電車の中で涙目になるのを隠すのに苦労した。「蒼穹の昴」には泣けなかったが、こちらはやられたって感じ。ただ、ここまで手の込んだ構成で泣かせるバリエーションを用意しなくてもいいのに、と斜に構えたくもなる。登場する子供達が皆あまりに賢すぎるしね。
でも、実際の吉村貫一郎って、どんな男だったのだろう?

此者之父吉村輩 身命不惜妻子息女ノ為ニ戦ヒ候 此行ヒ軽輩之賤挙ト言下ニ申及ビ候者 多々御座候ト雖 拙者熟々思料仕リ候処 此一挙 正ニ男子之本懐 士道之精華ト思ヒ至リ候
依テ拙者吉村貫一郎之士魂 南部一国ト取替申シ候 妄挙狂気ノ沙汰 譏ハ万々覚悟之上ニテ御座候
(下巻/p.442)

(2004/12/19更新)

 
       

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