酒本舗
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一月の酒と本(二)

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最近飲んだ酒 近頃読んだ本
北雪

北雪(新潟)
純米大吟醸
1800ml/3675円


しばらく海外へ駐在していた旧友との、7年ぶりの再会で飲んだ酒。旨い日本酒をぜひ飲んでもらいたく、「とりあえずビール!」の後のトップバッターとして、佐渡島の銘酒・北雪の純米大吟醸を注文した。程よく華やかな香りと辛口のキレの良さ、喉越しにさりげなく感じられるコシの強さはまさに期待通り。
「日本酒って、旨いもんやなあ」。友の言葉に密かな満足感を覚えつつ、三軒ハシゴした末に終電をやり過ごした東京の夜であった。

あふれた愛

 

あふれた愛
天童荒太著

笑いは、やがてすすり泣きに変わった。自分の無力さがあらためて悲しく、みじめだった。足もとから力が抜ける。立っていられず、その場に座り込もうとした。
背中を抱かれた。
さほど太くない腕が、からだに回され、耳もとに、
「やっていけるよ」
と聞こえた。かぼそいけれど、芯に強さを感じさせる声だった。
(「やすらぎの香り」より)


読後感に重苦しさを感じたり、悲劇的結末で終わると分かっている本は苦手な性分である。というわけで天童荒太という作家は、妙に気になりつつもイメージ的に“食わず嫌い”だったが、古本屋でぱらぱら頁を捲るうちに、まあこれなら大丈夫かなと思い購入した。
4つの短編はいずれも、恋人や妻など身近な人とうまく向き合えず、周りも傷つけ、自分自身も傷ついていく主人公による、再生への物語。こうした“静かなる家庭崩壊”をテーマにした本やドラマに触れるたび、子供の頃から私を一人の人格として認め、温かく見守りつつ好き勝手にやらせてくれた親に感謝したくなる。ただ放任された分、あんたはビミョーに常識を欠いていると人に言われることも少なくない・・・。

「話、聞くよ」
彼女は答えない。
「無理にはいいけどさ。話したくなったら、話せよ。何もできねえけど。ちゃんと聞くから。聞くことだけはするから」
美季はやはり何も言わなかった。背後にいるため、表情も見えない。しばらくして、喉が鳴る音が聞こえた
(「喪われゆく君に」より)


(2005/1/11更新)

 
阿部勘

阿部勘(宮城)
純米吟醸新酒福露搾り
720ml/1680円


前回の白岳仙と同じ日に「酒仙堂フジモリ」で購入したのがこの「阿部勘」。福露搾りという新年にふさわしい名前もまた佳き哉。袋搾りならではのフレッシュな飲み口ながら、しっかりとコクのある辛口タイプの男っぽい生酒。
蔵元は年間わずか500石ほどの生産量ながら、伝統的な南部杜氏の技と、最新鋭の設備を融合した意欲的な酒造りで有名な蔵。

   

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