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醸し人九平次(愛知)
純米大吟醸別誂
720ml/3650円
正月用に奮発して購入したが、もったいなくてなかなか開栓できず、先日ようやく開ける機会を得た。蔵元自ら複数のパリの三つ星レストランに持ち込んだところ、高い評価を得て取り扱いが決まったという限定品。ふだんならこの価格帯の酒は買わないが、やはりあの「九平次」の最高峰ということで見逃す訳にはいかなかった。
すべてにおいて高次元でバランスの取れた酒。香りはあくまでも上品で、口に含むと梨系(それも高級な日本の梨)の微かな甘味が広がり、酸味や苦味はほとんど感じられない。キレがありながらも抜群にまろやかで、後味も程よく引いていく。クセがほとんどなく日本酒入門者でも抵抗なく飲めるタイプなので、これならパリのグルメ達にも受けることだろう。あまり冷やしすぎない方が旨い。
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理由
宮部みゆき
磁石が砂鉄を集めるように、「事件」は多くの人びとを吸い寄せる。爆心地にいる被害者と加害者を除く、周囲の人びとすべてーーそれぞれの家族、友人知人、近隣の住人、学校や会社などの同僚、さらには目撃者、警察から聞き込みを受けた人びと、事件現場に出入りしていた集金人、新聞配達、出前持ちーー数え上げれば、ひとつの事件にいかに大勢の人びとが関わっているのか、今さらのように驚かされるほどだ。(3「片倉ハウス」より)
昨年のGWに大林宣彦監督によるWOWOWオリジナルムービーとしてTV放映された後、昨年末に映画としてロードショー公開されたらしい。「荒川区・一家四人殺し」を描いたノンフィクション形式ではあるが、事件自体は架空のもの。但し虚構でありながら、30人以上にわたる老若男女の生き様や会話をリアルに描き出す筆力には誠に畏れ入るばかり。
ただ個人的には、極めて巧く書き込まれたノンフィクション“風”の小説であるからこそ、読んでる最中にふと「でもこれって、実際の事件じゃないんよね・・」と、何度か白けた気分にさせられたのは否めない。まあ、優れた力量を持つ売れっ子の“小説家”だからこそ成り立つ方法論なのかな。
砂川信夫以外の三人、生身の三人の身元が不明のままである一方で、「一家四人殺し」をどうにかして自分の人生のなかのトピックとして残そうとする大勢の実在の人間の試みが、無数の根拠のない「記憶」を生み、「今になってみればあのときのあれはー」という推測を生み、「そういえばあのとき見たあの人はー」という追想を呼ぶ。こうして幽霊が歩き回ることになる。(16「不在の人びと」より)
(2005/1/17更新)
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