酒本舗
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二月の酒と本(三)

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鶴齢

鶴齢(新潟)
特別純米無濾過生原酒/山田錦
720ml/1600円


兵庫県産の山田錦を100%使用し、地元の霊峰「巻機山(まきはたやま)」の伏流水で仕込んだ季節限定品。無濾過の生原酒のせいもあるが、淡麗辛口が主流の新潟らしからぬ、どっしり重みのある芳醇辛口タイプだ。米の香りもふくよかで、かつフレッシュな味わいがあり、後味のキレもよい。無濾過の生原酒としては特に個性的でもないが、バランスがいいので安心して飲める感じ。
水菜、白菜、豚肉をたっぷり入れた、近頃巷で流行りの「豆乳鍋」を肴に、じっくりとヘルシーに戴いた。

緋色の記憶

 

緋色の記憶
トマス・H・クック著/鴻巣友季子訳

父は深く考えこみ、ほかにいうべき言葉を探しているようだった。「人生とはままならぬものだ、ヘンリー」父はいたくおごそかな目でわたしを見て、ようやく言った。「せいぜい真心を交わすしかないこともある」(第四部第22章より)

1997年アメリカ探偵作家クラブ賞・最優秀長編賞受賞作。家庭を持つことを拒んで老境を迎えた主人公が、少年期に図らずも関わりを持ってしまい、結果的に人生の重荷を背負うに至った“ある事件”を回想しながら、徐々にその謎(というより悲劇が起きた真の原因)が明らかになるというスタイル。
厳格な父親に敷かれた平坦な人生のレールへの反発、将来への漠たる希望と閉塞感、年上の美しい女性への憧憬等、本格ミステリーというよりは、ミステリー的要素を軸にした暗い青春文学という感じ。
なお原題は「Chatham School Affair」(直訳すると「チャタム校での出来事」)。思い切って「緋色の記憶」と邦題を付けた点に、翻訳者の力量とプロとしての矜持を感じる。

憧れてやまなかったチャニングの文言ーー“人生は愚に瀕してこそ、このうえなくうるわしい”ーーがふいに思い出された。これまでいかに軽はずみで浅はかな嘘を数々耳にしてきたにせよ、この言葉ほど罪深く、人を破滅にみちびく邪意にみちたものはない。そんな気がした。(第五部第30章より)

(2005/2/17更新)

 
       

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