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来福(新潟)
純米吟醸無濾過生原酒/亀の尾
720ml/1575円
“幻の米”と呼ばれる亀の尾は、華やかな香りとコクのある味わいを特徴とすると言われるが、そのイメージ通り、一口飲んだ時に感じられるどっしりとした存在感はなかなかのもの。亀の尾使用の吟醸にしては価格もお手頃。「ひまわり酵母」使用というのも珍しく(というか、私は初めて)、特段変わった香りがするとも思わなかったが、いろいろと話のタネにはなる。
まだ新酒で出たばかりなので、しばらく置けばもっと華やかな味わいが広がってくるのだろう。
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項羽ー騅逝かず
塚本青史著
乳母に促されて、その娘は出てきた。綺麗に結い上げた髪に、歩揺が光っている。淡い袿裳が、彼女によく似合っていた。戦場には不似合いな存在が、一輪の花になって佇んでいるのだ。項羽は、口元の小さな黒子が映えるその妖しい美貌に、思わず持っていた指揮刀を落としそうになった。(第六章
B.C.(208〜206)年より)
項羽と劉邦の物語には、戦いには滅法強いが己を恃む心が強すぎる余り人心を掌握できず滅びた項羽、武人としては無能であるが周囲の力を上手に引き出して王位に上り詰めた劉邦、という古より類型化された構図がある。本作もその枠内にあるが、項羽の少年時代から書き起こされている点、また劉邦を遠景に配しその人間像をほとんど描かなかった点に新味を感じた。
結局項羽は、自分の欠点や滅びの要因に死ぬまで気づかない。己が弱いから滅びるのではなく、天の嫉妬によって滅ぼされるのだと結論づけ、死ぬ直前まで自らの“強さ”を証明しようとする。確かに、歴史の傍観者の立場で見れば愚かかも知れないが、本人にとっては幸せな死に様だと言えるだろう。死ぬ間際に過ちに気づいて臍を噛むより、自らに誇りを持ったままあの世へ行ける方が余程いいから。
「どうだ。判ったか。天帝は、儂に嫉妬して滅ぼそうとしておる」
鼻息の荒い騅が、相槌を打っているように聞こえてくる。
「項王の力に、天帝も羨みましょう」
部下の言葉に、項羽は笑う。
「なにを言っておる。天帝の力が儂に劣るものか。天帝の僻みは、虞姫に対してだ」(第九章 B.C.(202)より)
(2005/2/25更新)
*塚本青史のその他の作品:「霍光」
「王莽」
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