酒本舗
BACK

三月の酒と本(二)

NEXT

最近飲んだ酒 近頃読んだ本
金亀

金亀(滋賀)
朝しぼり生原酒/純米吟醸
720ml/1575円


あらかじめ定められた日の早朝に搾った生原酒が、翌朝には予約した買い手の手元に届くという、「金亀」でおなじみ岡村本家の名物商品。この蔵の搾りは全量が木槽の袋搾りであり、蔵の周りで育った滋賀の酒造好適米「玉栄」を、鈴鹿山系の伏流水で醸すという、これぞ滋賀の地酒、といった感じ。
今回呑んだのは3月4日の朝に搾られたもので、搾りたての原酒ながら、味は意外にまろやかですっきりした辛口。それほどどっしりした重さはなく、割とスイスイ飲めるタイプである。この日の肴は脂が乗った絶品の鯖寿司と蒸し牡蠣、飯蛸の煮付け等。

本能寺

 

本能寺
池宮彰一郎著

その儚い一生の間に、人間は何を為し、どのような足跡を残すか。
信長は、新しき世を自らの力で創造するには、おのれの一生では時間が足らず、とみた。
---生あるうちに、世のあらゆる既得権を打破・討滅しよう。さすればわれに続く者が新しき世を作る。
(下巻「抜山蓋世」より)

旧弊と既得権打破への信念、行動の全てに対する強烈な美意識、そして天才的な先見性による中央集権的政治体制へのビジョン。これが本書における信長の生き様を貫くコンセプトである。そのため、様々な小説や歴史書でさんざん描かれてきた、奇矯で苛烈な独裁者とはひと味違う、ロジカルで一貫性のある理想主義者=信長、がここにはある。そして光秀叛逆の謎についても、(多少強引な気はするものの)これまでにない新たな回答が呈示されている。
ちょっと信長を美化し過ぎかも・・・と思わないでもないが、忠臣蔵を“合戦”という新たな視点で捉え直した「四十七人の刺客」以来、上質のエンターテインメントの中に独自の歴史・人物解釈を絡ませ続ける著者への期待は、今回も裏切られることはなかった。

「これで、楽に寝ねる」
一生は、苛烈の一語に尽きる。寝る暇を惜しんだ。
だが、それを悔いたことはない。天の与えた時は、余りにも短かった。志を遂げるに到らなかった。それも天運である。
志、満たすべからず、という。満つれば欠ける。満たされぬから信長の志は永遠である。
(下巻「志、満たすべからず」より)

(2005/3/6更新)
*池宮彰一郎のその他の本:
平家 天下騒乱

 
       

TOP HOMEページへ