酒本舗
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四月の酒と本(一)

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最近飲んだ酒 近頃読んだ本
赤石泊

赤石泊(兵庫)
特別純米無濾過生原酒
1800ml/2625円


今回紹介する酒は、2本ともJR六甲道の高架沿い西側に出来て半年も経たない「地酒立呑・刀屋」で、蟹味噌の塩辛や長芋のチーズお焼、おでん、まぐろのづけ等をつまみながら飲んだもの。2時間以上も立ち呑みで飲んでいると、さすがに身体がだるい。まあ、それはさておき・・・。
明石の江井ヶ島にある小さな蔵元で醸す「赤石泊(あかいしどまり)」は、全量山田錦を使用した無濾過の特別純米生原酒。昔からの酒造道具である甑(こしき)、暖気(だき)樽、木桶等を現役で使用し、さらに酒槽(さかふね)で搾った完全手造り酒。酸が強く濃醇で、素朴な味わいのお酒である。

怪獣使いと少年

怪獣使いと少年
ウルトラマンの作家たち

切通理作著

普通の日本人にとって、生まれればそれで「日本人」なのであって、ただ生活してるだけで日本社会に参加していると感じるのは当たり前であり、〈民族〉や〈国家〉を強く意識する切迫感はない。だがアイデンティティが不安な人間にとっては、意識的に「何人」かになろうとする必然性がある。(「I 金城哲夫 永遠の境界人」より)

沖縄人として屈折した感情を抱きつつ、その思いを怪獣や宇宙人に託していた金城哲夫、上原正三の二人の脚本家について読み進めるうち、久々に自分自身を省みる機会を得た。
在日華僑として中国人学校に通った私は、中学卒業まで友人も教師も華僑ばかりの環境の中、日本に居ながら中国人としての誇りや民族意識を育んできた。日中間に再度戦争が起きたら自分らはどんな扱いを受けるだろうかなどと、子供心によくシミュレーションもしたものだった。
しかし高校で環境は一変した。当然ながら周りは、殊更「自分は日本人だ」などと思わずに日々を過ごす友人達ばかり。周りからは私も同じ様な存在にしか見えない。今思えば何の不都合もないが、当時はそれまで構築して来た自己を風化させまいと、必要以上に中国人である事を振りかざしていた。大学に入り、社会に出て、その心の鎧は堅さを増していったように思う。
ただ、やがて結婚して子供が生まれ、自分のアイデンティティなどよりも大切な存在ができてからは、そうした鎧の存在自体が少し鬱陶しくなり、今は時々手にとって眺める程度に止めている。

日本のなかで異者として生きる上原にとっての「差別」とは、ある日目覚めてみたら、近所の人たちが石を持って窓の外にいるかもしれないという恐怖だったのだ。(「III 上原正三 永遠の異邦人」より)

(2005/4/1更新)

 
輪島物語

輪島物語(石川)
奥能登の白菊 純米酒
1800ml/2450円


さてもう一方は奥能登の白菊「輪島物語」。能登産の五百万石だけで造ったマイルドな飲み口の純米酒である。濃醇タイプの赤石泊の後に続けて飲んだせいで、飲んだ当初は少しあっさり目に感じられたが、実際はコクのあるしっかりとした味わいを持つ。精米歩合55%ということで、事実上吟醸クラスのスペックである。
蔵元の白藤酒造店は、この銘柄通り石川県の輪島市で酒屋としては9代続く老舗。平成7年から杜氏を使わず、親子3人で年間200石を醸しているとのこと。
ちなみに当夜は他に「磯自慢しぼりたて本醸造」「富久錦純米(ぬる燗)」を注文。

   

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