酒本舗
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四月の酒と本(二)

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最近飲んだ酒 近頃読んだ本
火入ら寿

火入ら寿(福井)
純米大吟醸生
720ml/5250円


SAKE王国の花見大会のため、「酒仙堂フジモリ」の店主の見立てで何種類かの酒を調達した。7〜8本で2万円前後という予算内で全てお任せし、生、燗向き、大吟醸、にごり酒等々タイプ別にいろいろと選んでもらったが、宴酣の時に出したいメイン商品としてお奨めされたのが、限定品の黒龍「火入ら寿」である。
幅と深みのある味わいの奥に、しっかりと主張のあるキレの良さはさすが黒龍といった所。酒にうるさい出席者たちの評判も上々で、宴の酒の選者としての面目を施すことができ正直安堵している。

全宗

全宗
火坂雅志著

「人の力で天命を変えるなど、不遜とは思われぬのか」
「いや、私は不遜とは思わない」
全宗は、きっぱりと言いきった。
「天命を変えられぬというのであれば、医家の仕事はあまりにむなしすぎる。そうは思われぬか、半兵衛どの」
全宗は相手の澄んだ目を睨むように見た。
風が、過ぎた。
(第七章「湖国の風」より)


本書に出会うまで、施薬院全宗という人物の名も足跡も全く知らなかった。秀吉の側近(侍医)として「望むところ必ず達す」とまで言われ、絶大な力をふるった実在の人物である。過去読んだ太閤記をはじめとするいわゆる“秀吉もの”の中に登場していたのかもしれないが、全く印象に残っていない。が、この作品を通じて、医学への貪欲な迄の知識欲と権力への野心に満ちたアクの強い人物像が、しっかりと心に刻まれてしまった。まさに、「本書の成功の第一要因は戦国時代を生きた数多くの人物の中から全宗を発見したところにある」と巻末の解説に書かれている通り。作家にとっては、まさに掘り出し物の歴史人物であったろう。
そして火坂雅志という作家についても、本書で初めてその実力の一端を垣間見た。読みやすさと、豊富な語彙に彩られた品の良さが並立しており、テンポ良く読み進めながらストーリーもしっかり頭に入ってくる。

秀吉とともに戦場で嗅いだ硝煙と血の匂いが、ふと鼻孔によみがえった。
(あの苛烈で、野心に満ち、獣のように強靱な魂で駆け抜けた我らの時代は終わったのだ・・・・・)
全宗は研ぎ澄まされたようなするどい光をふくんだ目で、闇の満ちた庭を見つめつづけた。
(第十三章「帰去来」より)


(2005/4/7更新)

 
鳳凰美田

鳳凰美田(栃木)
桃色発泡にごり酒
720ml/1575円


さて花見の席でもう一つ話題を呼んだのがこの「鳳凰美田」桃色発砲にごり酒。桃色酵母で仕込み、絞りたての新酒を瓶内で発酵させた発泡タイプで、瓶の底に桃色酵母を含んだ酒粕が溜まっている。
まずはその上澄みをそっと注いでみる。立ち上る泡、ほのかに感じられる上品な甘味はまさにスパークリングワインそのものである。続いて軽く瓶を上下に振り、濁り酒にした状態で一献。先ほどの上澄みとは打って変わって、まったりとした米麹の風味が口の中に広がる。
例年より桜の開花が遅れ、残念ながら蕾の下での花見となったが、この酒の“桃色”が宴に彩りを添えてくれた。

   

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