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運命の剣 のきばしら
中村隆資/鳴海丈/火坂雅志/宮部みゆき/安部龍太郎/宮本昌孝/東郷隆著
「これほどの太刀が無銘ですかのう・・・・」
口惜しげな物言いに助平は小さく笑みを返した。
「むろん、品質の責はこの身が負いますがの。あとは大昔から太刀作りに命を懸けた幾千幾万の刀工が御身をお護り致しますのじゃ」
(第一話「敢えて銘を刻まず」より)
鎌倉末期の刀工、助平(すけべ、ではない、「すけひら」)によって生み出された一振りの名刀「のきばしら」が、室町〜戦国〜江戸〜幕末〜明治〜昭和と歴史を縦断しながら流転していく様を、当代の人気作家七人が、それぞれの個性を打ち出しながら書き継いだリレー小説。執筆に先立ち何度か会合を重ねた上での連作とあって、顔見せ興業的な競作とはひと味違う読み応えあるアンソロジーに仕上がっている。
ただ、宮部みゆきの受け持ちパート「あかね転生」だけが、現実離れしたオカルトファンタジーとなっていたため、前後のリアリティある六作と比べ少々浮き気味なのが残念。無論ストーリー自体は面白いのだが。
龍馬も刀に魅入られたらしく、以蔵の手からもぎ取ると、庭に飛び出して二、三度素振りをくれた。
「確かにこいつぁ業物じゃ」
人の腕ほどもある松の枝をすぱりと両断し、しきりに感嘆の声を上げている。
「じゃけんど、おまんが言うように人を斬るために打った刀じゃなかぜよ。もっと真っ正直な気持でこしらえた、濁りのない品じゃ」(第五話「斬奸刀)
(2005/4/15更新)
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