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侍はこわい
司馬遼太郎
「ご寮人さん。申しわけないが、わいのは恋やない。好色や。せやけお、わいはこの好色の道に生涯を賭けてるでえ」
「ああ気儘人・・・・」
「そうや、この稼業がわかったか」
(「庄兵衛稲荷」より)
司馬さんが亡くなってはや9年。もう新作は読めないと諦めていたところに、昭和三十年代から四十年代にかけての、雑誌で発表されたまま書籍になっていなかった短編集がこうして文庫本として刊行された。ファンとしてはまさにうれしい限り。それもなぜ今まで書籍にしなかったのだろう、と不思議に思わせる程の秀作ばかりだ。時代的にも、司馬さんが直木賞を取った前後の、作家として上昇気流に乗りつつあった時期の作品であるから尚の事興味深いし、上方を舞台にした作品がいくつか含まれているのもうれしい限り。
来年のNHK大河ドラマも、山内一豊夫婦を描いた司馬さんの「功名が辻」に決まったことだし、ここらで久々に、若い頃読んだ数々の名作を読み返してみようかなあ、と思ったりもする。
「だいじなことを忘れていた。きいているだろうが、おれはこんど近藤周助先生の御養子になった。名も勝太じゃねえ」
「なんというの」
おえいは、別に興味はなかったが、はなしのついで、といった気持で訊いた。
「近藤勇というんだ」(「だたいま十六歳」より)
(2005/5/2更新)
*司馬遼太郎のその他の本:
大盗禅師/城をとる話
宮本武蔵
新選組血風録
以下、無用のことながら
義経
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