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以下、無用のことながら
司馬遼太郎
池波正太郎さんは、ごく自然な意味での隠喩がうまかった。
あるとき、池波母堂が上方料理の薄味について感想を洩らされたそうである。
「なんだか、白っぱくれてるね」
私は、池波さんからその表現をきいて大笑いした。(「若いころの池波さん」より)
連続での司馬遼太郎、今回は昨年文庫化された71篇のエッセイ集である。小説とは違って、エッセイや講演録に関しては、死後9年近く経った今でも未発表のものが刊行されることが多く、ファンにとっては思わぬ贈り物を頂いたような心持ちになる。
そして本書には、若き日の池波正太郎との思い出が語られていたから尚の事うれしい。同年生まれで、ほぼ同時期に直木賞を受賞したため自然と交流が深まり、独り旅で京大阪や高野山に来るとふらりと司馬氏のアパートを訪れていたという。「江戸の錺職人のようにさりげなくて、みごとなたたずまいだった」と、初対面での印象が描かれている。池波氏が司馬家の台所に立って、“どんどん焼”を手早く作ってくれたというエピソードも興味深い。
池波さんのよさは、たれしも多少はある自己陶酔症という臭い気体のふたをねじいっぱいに閉めていて、気もなかったことである。江戸っ子ぶるなどは、およそこの人にはなかった。(「若いころの池波さん」より)
(2005/5/8更新)
*司馬遼太郎のその他の本:
大盗禅師/城をとる話
宮本武蔵
新選組血風録
侍はこわい
義経
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