| 下町酒場巡礼もう一杯
大川渉/平岡海人/宮前栄著
この手の大衆酒場で、やたらと味の濃い煮込みを出すところがある。ビールや酒をたくさん売ろうという魂胆だろうが、そんな店には二度と足を運びたくなくなる。下町酒場に入ったらまず煮込みを頼めばいい。煮込みのうまい店は、ほかの肴もたいていいける。煮込みは店の善し悪しをはかる試金石である。(第三章「立ち飲みブルースが聞こえる」より)
ちょうど二年前、6月の本として紹介した「下町酒場巡礼」の続編。この二年の間に当方もすっかり大衆酒場贔屓となってしまい、多少酒の品揃えが物足りなくても、旨い煮込みや焼きとんが喰える店に好んで足を運ぶようになった。
さて、東京の酒場で言う“煮込み”とはモツを大根や人参、こんにゃく等と一緒に味噌で煮込んだもので、関西ではあまりお目にかかれない。関西の主流は専らシンプルな「牛すじ煮込み」。そしてコイツが旨い店は、それだけで飲んべえを引き付ける強力なアイテムを手にした事になると言えよう。少なくとも私にとっては。
女手がない店なのに、棚にはきちんと酒瓶が整列し、床も塵一つ落ちていない。カウンターも磨き上げられている。もつ煮込みを頼んだら、「ネギを入れますか」と息子さんに聞かれた。ぞんざいに、刻みネギをぶっかける店が多い中、うれしいじゃないか。(第四章「わが麗し、セピア色の本格派」より)
(2005/6/23更新)
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