酒本舗
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七月の酒と本(四)

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最近飲んだ酒 近頃読んだ本
不動

不動(千葉)
一度火入れ無炭素濾過特別純米
1800ml/2562円


およそ3年半ぶりに顔を出した浅草の居酒屋「松風」にて遭遇。千葉の酒造好適米「総の舞」と自社酵母を使って低温長期発酵で仕上げた、吟醸でも十分通る程の豊かな香りと味わいを持つ生貯蔵酒の特別純米である。
蔵元は「仁勇」を主銘柄とする鍋店(なべだな)株式会社。一風変わった蔵名の由来は、江戸時代の金座、銀座、釜座などの一つである「鍋座」から来ており、当時酒造家を一般に「おたな(店)」と呼んでいた事からこの名が付いたらしい。元禄2年より酒造りを始めて以来、大本山成田山新勝寺の御用達酒を務める老舗である。

江戸の海

 

江戸の海
白石一郎著

「天涯孤独か・・・・いちどそんな身分になってみたい」
「どうしてです」
「家族を六人も抱えてみろ。どんなに煩わしいか、おぬしには判るまい。ましてや狭い国もとの城下町、侍ぐらしには体面やら体裁やら、身分の上下やら・・・・とにかく面倒なことばかりだ」
(「勤番ざむらい」より)


歴史小説から民話風小説、海洋小説まで、まさに白石一郎の世界を一望できるかのような、味わい深い十編の短編小説が収録されている。
さて、最近古本屋で購入したばかりの本書。全編を十二分に堪能し、(ああ、さすがに巧い作家だなあ・・・)などと思いつつ、書棚へ置こうとして愕然とした。何と目の前に、全く同じ文庫本の「江戸の海」が、既に書棚の中に鎮座していたのだ。かつてどういう状況で、いつ読んだのか全く記憶にない。同じ本を敢えて二度以上読むことは多々あるが、全く気付かないまま二度目の通読をし、まるで初めて読んだかのように満足したというのは初めての経験だ。

女たちは亭主など忘れて、それぞれに逞しく生きている。
清二郎と軍次がどこで何をして生きていようと、もうこの島には何のかかわりもない。
女たちに知らせる必要もなければ、女たちも知る必要はない。
あの二人の勝手な男のことは、きれいさっぱり忘れることにしようと、理兵衛は苦笑しながら考えていた。
(「夕凪ぎ」より)

(2005/7/24更新)

 
       

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