| 平家
池宮彰一郎
いまを去る八百四十年の昔。
遠い年月である。
時代区分を遡れば、近代・近世・中世を超えて古代に属する。桓武天皇が都を京に定めてより三百六十四年、平安期の末期に当る。
時は平治元年(一一五九)十二月、厳寒の候。(第一章「兵乱発起」より)
日本史は好きだが、源平の時代は苦手だ。とにかく平某、源某等似たような名前が多くて始末が悪い。清盛、義経、頼朝といった有名人はともかく、他の登場人物の相関関係まで頭に入りづらいため、どうも食指が進まないのである。ただ今回は、どんな題材でも独自の歴史解釈で面白く読ませる池宮版「平家」ということで、全4巻にチャレンジする気になった。
「祇園精舎の・・・」でおなじみ「平家物語」以来、とかく悪役として描かれがちな清盛であるが、本作では好意的に、腐った官僚体制に挑んで経済立て直しに苦心する孤独な英雄として描かれている。そして清盛vs.後白河法皇との丁々発止の心理戦や、大胆な知略で平家を絶滅へと追い込む義経の活躍等、小説的な見せ場も随所にあって飽きさせない。さすがである。
「長成・・・・・それで御諚はどうであった。誰を後継ぎと目された」
「それが・・・・・言うを憚りまするが、義経、と申されました」
「なに、義経?」
事の意外に清盛は鋭く反応した。(第十二章「山高ければ谷深し」より)
(2005/8/15更新)
*池宮彰一郎のその他の本:
本能寺 天下騒乱
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