| 曹操注解 孫子の兵法
中島悟史
その第一は「道」、すなわち《道徳による政治》、第二は「天」、すなわち《天与の条件》であり、第三は「地」、すなわち《地勢の利点》、第四は「将」、すなわち《指導者の人事》、第五は「法」、すなわち《法秩序のシステム》である。(「計篇」より)
兵法というものの存在を初めて知ったのは、中学三年の春、吉川英治の「三国志」を読んだ時であった。諸葛孔明や曹操を筆頭に、兵法に精通した軍師や将軍たちが縦横無尽に兵を操り、戦野を駆け巡る様を読むにつれ、どれ程神秘的な事が書いてあるのだろう?と深く興味を惹かれたものであった。
あれから三十年近く経ったが、兵法書への興味は深く静かに心の中を占め続けている。特に「孫子の兵法」は、遙か2500年も昔に書かれたとは思えない普遍性を備えているため、仕事に活かせないかなあなどと考えつつ、関連書籍をあれこれ読み漁っている。
本書「曹操注解 孫子の兵法」は、三国志の英傑・曹操が自ら筆をとって「孫子」に注釈をつけたもの。実戦での応用から得た自らの所感と経験が細々と項目毎に書き込まれており、当時の曹操の心情などに思いを馳せながら読むと結構興味深い。三国志ファンなら必読のテキスト。
戦略戦術を練り上げ、兵法の計算でも勝算が確実になっている指揮官の軍隊は、向かうところ敵なしである。敵軍と遭遇して戦闘すれば、必ず勝つ。
それはすでに戦略戦術の段階で敗北している敵軍に対して、実際の戦闘で確かにトドメを刺すということなのである。これが必勝の戦い方なのだ。
曹操 敵国敵軍の情報を完全に掌握して、勝算が確実な戦争をするわけだから、どうやっても間違いなく勝つわけだ。(「形篇」より)
(2005/10/6更新) |