酒本舗
BACK

十月の酒と本(三)

NEXT

最近飲んだ酒 近頃読んだ本
男山

男山(北海道)
生もと純米
1800ml/2435円


東京駅八重洲北口から徒歩5分ほどの所にある、古き良き風情のある居酒屋「ふくべ」で注文。コシのある辛口で、どっしりとした存在感のある飲み口だが、何となく洗練された味わいを感じる。
男山は北海道を代表する銘柄。大雪山系の万年雪を源にする伏流水を用い、低温発酵で世界的に名の通った酒を造り続けている。ちなみにこの日の肴は表面を程よく炙ったたらこと、関西風の薄味に仕立てられたおでんの大根とがんも。

曹操注解孫子の兵法

 

coyote No.8「深夜特急ノート」
沢木耕太郎

私が未知の外国を旅行するときにほとんどガイドブックを持っていこうとしないのも、できるだけ素のままの自分を異国に放ちたいからなのだ、と。放たれた素のままの自分を、自由に動かしてみたい。実際はどこまで自由にふるまえるかわからないが、ぎりぎりまで何の助けも借りないで動かしてみたい。(旅の掌編4「素のままの自分を異国に放つということ」より)

「深夜特急」を初めて読んだのは家庭を持ってしばらく経った頃だった。もっと早くこの本に出会っていたら、何かが自分を突き動かして、衝動的に旅に出ていたかも知れないと真剣に思った。一瞬家庭を持ったことを後悔するほど、この本には人の心を駆りたてる魔力があったのだろう。
この本は一見旅を描いているようで、実はその視線は常に内側へ向けられている。旅先での様々な景色や出来事、人との出会いを描きつつ、実はそれらを通じて何かを感じ、何かを思う自身の内奥を描いている。つまり本質的には沢木耕太郎が旅を描いた本というより、「旅する沢木耕太郎」について描いた本なのだ。
いつかの折「沢木に憧れてノンフィクションが書きたいという人は、結局ライターになりたいのではなく、沢木のように書きたいのだ」と喝破した一文を読んだことがあるが、まさにその通りだろう。

なぜユーラシアなのか。それもなぜ乗り合いバスなのか。理由は自分にもわかっていなかった。きっと日本の平均的な若者と同じように、ぼくもまた「どこかへ行きたい」とは思っていたが「どこへ行きたい」かはわかっていなかったのだ。(「飛光よ!飛光よ!香港流離彷徨記」より)

(2005/10/23更新)

 
       

TOP HOMEページへ