酒本舗

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十一月の酒と本(三)

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最近飲んだ酒 近頃読んだ本
白鶴

白鶴(兵庫)
上撰
1800ml/1835円


「dancyu」立呑み特集の冒頭を飾っていた新宿三丁目「日本再生酒場」に、先日ようやく訪れる機会を得た。月曜というのに満員御礼。昭和の高度成長期をテーマにした内装は、年配者にとっては懐かしく、若い世代には新鮮に映るようで、かなり幅広い年齢層で賑わっていた。
そしてホルモン系の串焼きを主体とするこの店でしこたま飲んだのがこの白鶴上撰。万人受けを狙った灘五郷大手の酒らしくとりたてて特徴はないが、淡麗で飲み飽きしないせいか、気が付けば三合、立呑みで三時間を過ごしてしまい、さすがに足腰がふらふらになった。

シネマと書店とスタジアム

 

シネマと書店とスタジアム
沢木耕太郎

誰にも「それさえあれば」というもののひとつやふたつはあるような気がする。釣りさえできればという人もいるだろうし、音楽さえ聴ければという人もいるだろう・・・(中略)・・・私なら、とりあえず映画と書物とスポーツのゲームがあれば、と言うかもしれない。もしかしたらその三つに酒を加えてもいいが、それだと四つになって、少々バランスが悪くなってしまう。(「あとがき」より)

ここ数年、すっかり映画を観なくなってしまった。大学時代は毎月最低でも3本、卒業後も、かつて大阪・堂島にあった「大毎地下劇場」の会員になり、仕事帰りに旧作のリバイバルを楽しんだものだった。残念ながら時間と心に余裕がない今は、映画に2時間を割く気になれず、つい読書か酒、あるいはその両方を選んでしまう。ただ本書の映画評を読んでいるうち、ここで紹介されている数本の映画を無性に観たくなった。
それにしてもこの人の文章には、読み手を駆り立てる力があるなとつくづく思う。対象との距離の取り方、主観と客観の程よいバランス、そして独特のレトリックと、硬質ではあるが適度なウェット感と“熱”を帯びた文体。時にそのダンディズムが多少気障に感じる作品もあったが、やはり表現者としては今もなお憧れの存在である。

そこでハルバースタムは、一九四九年を闘った選手たちの、フロントの、ジャーナリストたちの、ファンの持つ「記憶」の収集に取り掛る。「記憶」は氷づけにされた「記録」に生命を吹き込む。そう、この『男たちの大リーグ』は、スポーツ・ライティングの基本が「記憶」にあるということを雄弁に物語るものなのだ。(「いつだって本はある」より)

(2005/11/14更新)

*沢木耕太郎のその他の本:
血の味 無名

 
       

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