| 行動分析学入門
−ヒトの行動の思いがけない理由
杉山尚子
人間の行動の背後には、当の本人さえ気づいていない行動の法則があるのである。そして、もっと考えなければならないのは、自分が無意識のうちに法則に従って行動していたとしても、自分が何かにコントロールされているのではなく「まったく自由である」と感じることはできるということである。(第1章「心理学をめぐる誤解」より)
すべての人間が理性的・合理的に行動できるとは限らず、「分かっちゃいるけどやめられない〜♪」のが人間だ。でも意識的にせよ無意識にせよ、やるべき事をやらない(またはやってはいけない事を、ついやってしまう)という“行動”には必ず原因や法則があり、それを科学的に追求・実証しましょうというのが、行動分析学のスタンスである。
こうした視点を取り入れる最大の利点は、本書にもあるが「個人攻撃の罠を避けられる事」。何度言ってもこちらの望む行動を取ってくれない相手がいると、つい「なぜこんな簡単な事ができないのか!」と、相手の人間性や資質を非難したり、終いには何らかの悪意があるのではと憶測しがちだが、行動分析学的に相手を観察することにより、こちらの望むように動けない何らかの理由があるのかも・・・という柔軟な視座が開かれる。一筋縄ではいかないのが人間だが、その縄の繊維を一本ずつほぐして観察することで見えてくる真実があるのだ。
行動分析学では、行動を、欲求や意志のような心ではなく、「行動随伴性」という概念で理解しようとする。随伴性、すなわち、行動のあとに「従い」、あるいは、行動と同時に「伴う」出来事が将来の行動を決定するという考え方である。どのような出来事が行動に随伴するかによって、将来の行動の頻度や方向性が変わってくる。(「あとがき」より)
(2005/12/5更新) |