酒本舗

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一月の酒と本(三)

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天青

天青(神奈川)
吟望/特別純米
720ml/1313円


湘南の蔵元熊澤酒造の銘柄。名付け親もラベルの書も作家・陳舜臣氏によるもので、中国の五代後周の皇帝が、理想の青磁の色合いを表現した言葉を由来としている。「dancyu」2004年版日本酒特集で、「燗にして旨い酒」として紹介されたことから有名になった。
五百万石を55%精米した吟醸仕様で、酒器に注ぐとほんのりと麹の香りが漂う。飲み口こそ軽いがしっかりとしたコクとボディがあり、酸味が少なく後味も程良く切れる。ぬる燗、または熱燗の燗冷ましが旨い。

瞬間の君臨

 

瞬間の君臨
−リアルタイム世界の構造と人間社会の行方

ポール・ヴィリリオ著/土屋進訳

これからは、全てのものが出発することなく到着する。これまでの力学利用の乗り物(すなわち、動く乗り物、自動の乗り物)による到着地は、限定された場所だった。その限定された到着地が、突然、オーディオ・ヴィジュエルという「動かない乗り物」(画像イメージと音響イメージ)による場所を問わない到着地に置き換わってしまうのだ。こうして極の不動(一方の極からもう一方の極へ移動するという概念の無力化)が始まる。(第2章「最後の乗り物」より)

映像メディアやインターネットの発達は、空間や距離に対する人間の感覚を大きく変容させた。訪れたことのない国や土地にも行ったような気になっているし、実際にリアルタイムでN.Y.やパリの“今”を見聞きすることもできる。「光速の乗り物」=光の技術を駆使した瞬時コミュニケーション技術は、あたかも知覚(特に視聴覚)が拡張したような錯覚を人間に起こさせているが、実はそこで得られる大半のものには実体がない。今後どのように技術が進化しようとも、メディアは「どこでもドア」にはなり得ず、ドアの向こう側に行って実体に触れることは決してできないのだ。
そして実体がないという事実を頭では理解しつつ、私たちは年々加速する一方の“現実社会”を遊泳し、お互い分かったような口を聞いているのである。

透明という言葉は、今や、「視線を投げかける瞬間に事物の外観が見える状態」を指すだけではない。「突如として外観が遠くから瞬時転送される状態」をも指すようになる。こうして「現実空間」の透明という語だけでなく、「リアルタイム」の外観移送という語が必要になる。(第4章「環境コントロール」より)


(2006/1/13更新)

 
       

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