酒本舗

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二月の酒と本(二)

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最近飲んだ酒 近頃読んだ本
隆

(神奈川)
純米吟醸 若水生酒
720ml/1550円


蔵元の川西屋酒造店は、全て完全手造り・小仕込みで、この「隆」も1.5トン以下の小タンクで仕込んでいる。米の違いや仕込みの違いによってラベルの色を変えるという遊び心のある銘柄だ。
今回飲んだ純米吟醸は、旨味を出すのが難しい足柄産若水を使用。ふくよかな米の風味としっかりとした旨味を持ちながら、程良く酸がきいでキレの良い味わいを醸し出している。食中酒としてもOK。ちなみにこの日は牡蠣と豚肉の鍋。

楽毅

 

楽毅
宮城谷昌光

戦いは戦場にあるばかりではなく、平凡にみえる人の一生も戦いの連続であろう。自分が勝って相手をゆるすということはあっても、自分が負けてゆるされるということはない。それが現実なのである。相手にさとられないように戦い、それでこそ、敵の運命を司ることができる。真に兵法を知るとは、そういうことなのである。(第二巻「幽明の門」より)

三国志の英雄・諸葛亮孔明に「このような人物になりたい」と言わしめた、戦国時代を代表する名将・楽毅。今で言うなら、当代一の腕を持つ職人であると同時に、優れたマネジメント能力を備えた一流の経営者でもあるといったところか。そんな主人公を通じて、「人はいかに見事に生きるべきか」を主題としたのが本作である。
時は紀元前3~4世紀の頃。弱小国である「中山国」の宰相の子として生まれた楽毅は、他国との圧倒的な国力差の下で苦心と工夫を重ね、将として奮戦するも亡国の憂き目に遭う。ただその後失意の中で暮らしながら己の器量を磨き続け、やがて弱小国である「燕」の将として大国「斉」を撃破、名将として大輪の花を咲かせその名を青史に刻む。そんな一人の男の“見事なる”生涯が、ゆったりと格調高いトーンで描かれている。宮城谷節炸裂の気品ある名作。

足を止めた楽毅は、雑踏をながめ、
「留学中のわたしは、人がみごとに生きることは、むずかしい、と考えたことがあった。それからおよそ三十年という歳月がながれて、わたしはおなじところに立っている。わたしはみごとに生きてきたのか、と、ここで問うつもりであったが、その問いの虚しさに気づいたよ」
と、微笑をまじえていった。
(第四巻「望諸君」より)


(2006/2/12更新)
*宮城谷昌光のその他の本:
華栄の丘

 
       

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