酒本舗

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三月の酒と本(一)

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吉乃川

吉乃川(新潟)
「米だけの酒」純米酒
720ml/1103円


吉乃川は長岡市にある醸造元で、創業は1548年と古く、昔ながらの越後の寒造りを継承。仕込水は信濃川の伏流水で、敷地内から汲み上げられる軟水「天下甘露泉」を使用している。
さてこの「米だけの酒」、コクのある旨味とスッキリとしたキレが持ち味で、食中酒としては申し分なし。越後の酒らしくクセがないので飲み飽きない。値段もお手頃なので、飲ん兵衛にとってはうれしい酒である。

最期の喝采

 

最期の喝采
ロバート・ゴダード著/加地美知子訳

きょうの午後、列車から降りたときにわたしを襲った感覚は、わたしが予期していたものではなかった。十二月の日曜日に旅をするとなれば、きっとそうにちがいないと思ったとおり、長くて気の滅入る道中だった。(「日曜日」より)

稀代のストーリーテラーと呼ばれるゴダードの、十六作目に当たる邦訳最新作。昔の出来事と今の事件の間にある隠された繋がりを、現在と過去を行き来しながら解き明かす重厚な歴史ミステリを自家薬籠中のものとする著者にしては、これまでにない異色作と言えよう。物語の舞台はイギリスのブライトンという街の中だけ。それも2002年12月のとある8日間という、極めて短い時間の出来事が時系列で描かれている。
周到に練り上げられたプロットの下、過去と現代が絡み合った物語が解き明かされるというゴダードならではの醍醐味は少ないが、その分凝縮されたストーリー展開の面白さが堪能できる作品である。

わたしが崖の縁にたどり着いたとき、二人はまだいっしょだった。わたしはあえぎながらがくっと膝をつき、そのあとの数秒、彼らが落ちていくのを見守った。
彼らは崖の根元にぶつかり、浜辺に転がって離れた。波が彼らをつつみこんだ。そして、真っ赤に泡立ちながら退いていった。
(「土曜日」より)


(2006/3/2更新)
*ロバート・ゴダードのその他の本:
蒼穹のかなたへ 千尋の闇
闇に浮かぶ絵 日輪の果て

 
       

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