酒本舗

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十月の酒と本(二)

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未鑑定大吟醸

未鑑定大吟醸(兵庫)
セカンドラベル
720ml/1700円


享保元年(1716)創業、奥丹波の蔵元山名酒造が、新酒鑑評会に出品するためいくつか仕込んだタンクのうち、最終的に出品しなかったものからふな搾りをした、山田錦100%の純米大吟醸雫酒。香りは軽めで、飲み口も軽やかながら比較的しっかりした味わい。やや甘めでほのかな米の風味が口の中に広がる。

楊家将

楊家将(上)(下)
北方謙三

「見事なものだ」
そう思わずにいられなかった。父への思いに、四郎は複雑なものを持っているが、戦場では、やはり息を呑むほど圧倒的である。あれが敵だったらと考えると、全身に粟が生じてくる。
(第八章「遙かなる戦野」より)


日本では全く知られていない「楊家将」だが、中国では「三国志」「水滸伝」と並び民衆から絶大な人気を博している物語。ただ原典(楊家将演義)の出来がイマイチなため、中国では文学というより京劇の人気演目と位置づけられている。
さてこの“北方版”楊家将。宋の軍人として戦いに散った楊業一族を主役に据えた以外はほぼ原典から逸脱、その点では張飛を妻帯させるなどした北方版「三国志」同様、掟破りの北方ワールドが炸裂している。という訳で、本作を読んだだけで中国人と「楊家将」を論じたりすると、話が噛み合わないから要注意。
無論原典と違うからと言って、作者の創作手法を否定する気はさらさらない。絶対的に頼れる武将の父親と個性豊かな七人の息子、一族を取り巻く一癖も二癖もある武官・文官、さらには敵国の武将に至るまで全てのキャラがしっかりと立っており、「そうだ、男はこう生きねば」と雄々しい気持ちにさせられてしまう小説だ。

楊家軍に、六郎は出動を命じた。すでに、騎馬一千を含む八千が、総勢になっていた。
「楊業は敗れず。楊家は負けず。決して敵に敗れることはない。味方に負けたのだ。楊家軍は、敵に敗れてはいないぞ」
声が、あがった。出動、と六郎は低く命じた。全軍が動きはじめる。
(第十章「やまなみ」より)


(2006/10/6更新)

 
 
   

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