酒本舗

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十月の酒と本(四)

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雪っこ

雪っこ(岩手)
活性原酒
180ml/278円


発売から30数年の歴史を持つ、もろ味そのままの状態に近い米の芳香たっぷりのしぼりたて生にごり酒。蔵元は岩手県陸前高田市の酔仙酒造。西和賀町の雪室貯蔵施設「雪っこトンネル」で低温貯蔵された米を使っている。度数も20.3度と高く、まったりと濃厚でトロッとした甘味がある。にごり酒というのはどうしてもそれぞれの違いが判別しづらいが、この雪っこの場合は、一合200円台の同種商品の中ではかなり水準の高い、深みのある味わいを持った佳酒である。毎年10月から3月までの冬季限定商品。
ちなみに活性原酒というのは、酵母や酵素の生きている生酒のこと。

光武帝

光武帝(上)(中)(下)
塚本青史

名前を麗華と言った。彼らが噂するだけあって、涼しい目鼻立ちをした愛くるしい娘だった。劉秀が今まで目にした若い女たちの中では、一番心惹かれたことは確かである。
『陰麗華か!』
劉秀は、彼女を密かに心の内で思うことにした。
(第3章「黄山宮(AD14年)」より)


漢王朝と言えば、王朝の創立期の「項羽と劉邦」の逸話が有名であるが、王莽の簒奪によって創立され15年間だけ続いた「新」王朝を挟み、前漢と後漢(漢と東漢)の二期に分かれている。そして光武帝は劉邦の血脈を引く地方皇族の一人で、言わずと知れた後漢王朝の創立者だ。この後漢に続くのが三国時代であり、劉備玄徳も劉秀同様漢王朝の末裔であった。
さて中国史を題材にした佳作の多い著者ではあるが、本書に関してはやや期待はずれといった感じ。物語の展開や人物設定、言葉遣いにいつもの緻密さがなく、それでいて随所に無駄なディテールが多くて分かりづらい。何より、主人公である劉秀(光武帝)や、彼を支える周囲の人物達に人間的な魅力が感じられなかった。もう少し物語的な脚色があっても良かったように思う。
光武帝は中国史上ではメジャーでありながら、小説の世界では意外に“未開拓”な存在でもあったので、著者がどのように描くのかなあと期待が大きかったのだが、ちょっと肩すかしを食った感じだ。

「王様には、即位のお心をお決めください」
朱佑は、開口一番そのように言った。
「即位だと。いったい何の位につくのだ?」
「皇帝でございます」
劉秀は面喰らった。
(第19章「劉秀の即位と洛陽奠都」より)


(2006/10/15更新)

 
 
   

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