酒本舗

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十一月の酒と本(一)

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最近飲んだ酒 近頃読んだ本
田翁

田翁(岐阜)
特別契約栽培米仕込
720ml/840円


蔵元の「千代菊」では「スタンダード田翁」と呼んでいる。仕込水には地下128mの長良川伏流水を、原料米には契約栽培による無化学肥料減農薬米を100%使用。精米歩合68%で一升瓶が1926円だからコストパフォーマンスがかなり良い。素朴な味わいの、普通酒にしてはどっしりとしたコクのある辛口。

春秋戦国志

春秋戦国志(上)(中)(下)
安能務

なんとか、史実を歪めることなく、浪漫に満ちながらも厳しい春秋戦国の壮大な歴史ドラマを、面白く物語ることが出来たら、と念じている。いや、事実もさることながら、その裏に潜む真実を写し出すことが出来たら、幸いこの上ない。(序章「初めに春秋戦国があった」より)

上巻の初版が1991年11月ということなので、かれこれ15年近く前に読んで以来の再読。分かりやすく歯切れ良い文体と、法治主義と皇帝権力の矛盾を追求した独特の歴史観、そして政治力学の論理を知り抜いた様な断定的な物言いは、例えば陳舜臣氏の労作「小説十八史略」とはひと味違う春秋戦国絵巻が展開されていて興味深い。
それにしても著者の安能務(あのうつとむ)とは、そもそもどんな人物なのだろうか?別の著書に記してあった著者紹介によると「1925(大正14)年、台湾生まれ。香港大学卒」とあり、数冊著書の紹介があった後「2000年4月逝去」と書かれたのみ。どの著書にもいわゆる「解説」が巻末に掲載されておらず、職業も風貌も、そもそも日本人かどうかも定かではない。個人的な背景や生き様を表に出すのをよほど嫌う方だったのか、作品だけで勝負という姿勢がある意味清々しい気もする。

暴君どころか、始皇帝は中国史に「進歩」の概念を導入した唯一人の偉大な皇帝であった。しかも彼が天下を統一して中央集権の帝国を築き上げたのは、ヨーロッパの世界にローマ帝国が出現する二百年ほど前のことである。つまり始皇帝の秦帝国は、世界史に出現した最初の法治体制と官僚組織を備えた帝国であった。(第六十五章「弾疽の痛」より)


(2006/11/15更新)

 
 
   

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