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七ツ梅(埼玉)
大吟醸原酒
720ml/1260円
今年の“初酒”として、元日におせちをつまみながら賞味した酒。グラスに注ぐと、少し華やぎのある吟醸香と米の香がふわりと立ち上る。17度以上ある原酒にしては飲みやすいが、まったりとした飲み応えも感じる。飲み口はほんのり甘味のある旨口タイプ。
付属のしおりによると「七ツ梅」の由来は、昔の刻限暁七ツ時(現在の午前4時頃)に最も梅の香りが立ち上るところから生まれ、古人の歌にも「おく深く谷間に咲けど七ツ梅、香りは広く世にぞしらるる」とある、らしい。かつては幕府大奥の御膳酒として愛飲され、江戸市中において関東第一位の地位を占めたという由緒ある銘柄でもある。
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雨の音
子母澤寛
千住から遠く奥州街道、中山道一帯に網を張って待っている。そこへ山の落武者がどんどんこっちから引掛かって行く。
あ、私の祖父も行く。血刀を下げたままだ。どうして、早くあの刀を鞘へ納め、も少し目立たぬようにしないのか。(「蝦夷物語-或る二人の敗走者」より)
子母澤寛は、彰義隊の残党である祖父・斎藤鉄五郎に育てられ、寝物語に徳川家に殉じて戦った無名の人々の話を聞かされ育った。本書は、そんな祖父ら敗者への温かい愛情が随所に感じられる珠玉の短編集。中でも「蝦夷物語」「厚田日記」は、上野の山の戦いで敗れた後から北海道・厚田での厳しい生活に至る祖父の足跡を、事実に沿って小説にまとめている。
実は私自身にも祖父にまつわる思い出がある。今から10年以上も前、夜中に何気なくTVをつけると、何と祖父(1972年没)を描いたドキュメンタリーが放映されていたのだ。えっ、何で?と思わず見入っていると、戦時中に華僑の行商という理由で官憲に目を付けられ、隣家の友人共々無実のスパイ容疑で拷問にかけられたが、官憲の中に心ある人がいて無実の祖父を助けてくれたという秘話があったのだ。隣家の友人は獄死したというから、かなり悲惨な目にあったのだろう。
このように、家族の歴史をTVで知るという稀有な体験をした訳だが、いずれ私自身の筆で祖父の体験を書き残しておきたいと思っている。
「おい戸谷、」
斎藤鉄五郎が思わず叫んだ。宮川愛之助も、福島直次郎も、平井枝次郎も、顔をおおってその辺へ転がるようにうっ伏した。新しいアツシの晴着をきて来てくれて棺を担いだアイヌ五人も、みんなぼろぼろ涙をこぼした。(「厚田日記」より)
(2007/1/6更新)
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