酒本舗

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三月の酒と本(一)

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十旭日

十旭日(島根)
純米吟醸原酒・改良雄町平成17BY
1800ml/3150円


改良雄町を60%磨き、蔵内常温熟成により鍛えられた日本酒度+4・酸度1.8のコクのある辛口原酒。口に含むと微かに泡盛を彷彿とさせる様な、ツンと来るアルコール感が広がる。個人的にはやや苦手な風味。
ちなみに蔵元の旭日酒造は明治2年(1869年)創業で、当時の銘柄は何と「白雪」。「十(じゅうじ)旭日」への改名の理由は、明治40年に大正天皇(当時皇太子)が山陰地方を巡幸された際、随行された木戸孝正侍従長への献上酒が「天下一品の美酒なり」と賞賛され、「十(じゅうじ)旭日」の揮毫を受けたことによる、らしい。

「かわいい」論

「かわいい」論
四方田犬彦

それは欧米のように未成熟を成熟への発展途上の段階を見なし、貶下して裁断する態度とは、まったく異なっている。「かわいい」を二十一世紀の後期資本主義社会の世界的現象とのみ理解するだけでは、それが日本から発信されたことの理由が理解できなくなってしまうだろう。共時的な認識と通時的な認識とを同時に働かせないかぎり、「かわいい」の美学、神話学に接近することはできないのだ。(第1章「『可愛い』現象」より)

「『かわいい』を21世紀の美学として位置づけ、その構造を通時的かつ共時的に分析する、はじめての試み」という宣伝文句通りの書。深い問題意識と能力・教養を備え持つ学者が取り組めば、「かわいい」という言葉の中に元来備わる歴史性、今日的な文脈の中における意味の広がり、及び「かわいい」を取り巻く諸々の現象は、社会学的に十分学問の対象となり得るのだなあと感心させられた。
読んでいて説得力を感じるのは、東京と秋田の大学生245人に「かわいい」をテーマにした記述式アンケートを行い、その回答を綿密に分析した上で論考を行っているためだろう。これまで感覚や私見で語られがちだった若い世代の「かわいい」にも、実は性別や各人の成育環境・経験によって結構ニュアンスに違いがあるんだなと解り興味深かった。

『セーラームーン』が興味深いのは、主人公の五人の少女が変身の後にいかなる活躍を見せるかではなく、悪を眼前にした彼女たちの変身にこそ語りの上で大きな力点が置かれていることにある。・・・(中略)・・・この変身は、ロジェ・カイヨワが定義する意味での遊戯の四つの定義を、すべて完璧に兼ね備えたものといえる。すなわち偶然、競争(闘争)、模倣、そして圧倒的な陶酔が、みごとに集約されて登場しているのだ。(第6章「なつかしさ、子供らしさ」より)

(2007/3/1更新)

 
 
   

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