| 新聞なんていらない?
記者たちの大学講義
朝日新聞社編
ジャーナリズムの基本として、「権力の監視」はよく言われます。もう一つが、「声なきものに声を」、声が出せない人たちの近くに行って話を聞くことですね。そういう二つの大きな役割があります。事件に関する報道をすそ野広く、視野を長く考えていけば、そこにはその重要な二つが両方含まれているのだと思います。(4「被害者と記者」より)
かつて「TV vs.新聞」という構図で比較されがちだったマスコミだが、ここ最近はそうした枠組みが大きく揺らぎ始めた感がある。早い話が「TVも新聞も見ない」若者が確実に増えているのだ。十代後半の我が家の子供達も、見たい番組の時しかTVをつけないし、新聞は番組欄をざっと眺める程度で、記事を読むことはまずない。ただ読書そのものは好きなので、要するに報道の主軸である社会全般への関心がまだ希薄なのだろう。やがて必要に迫られ社会への興味が頭をもたげた時、彼らが主に新聞を手に取るのか、TV画面に向かうのか、あるいはネットやケータイから情報を得ようとするのかは分からない。
本書は朝日新聞社の記者、営業、広告担当の社員及び元役員が、取材の裏話や新聞の読み方、販売店の現状、新聞広告を読み解く視点などを、それぞれの実体験を元に紹介した講義録。大学生に語りかける内容なので、新聞に携わる人々のホンネと新聞社の全体像を、内側の視点から分かりやすく掴むことができる。
僕は新聞は風だと思っているんだ、と中馬さんは答えた。風は自然現象だけれど、人は自分たちで風をつくり出している。風をつくることもできる。台風のように強く吹く時もあれば、ささやくように吹いたり、止まる時もある。風を起こす人間になれればとか、昔みたいにそんな気負いはないよね。情報を運ぶ、風としてできることは何かなと、早いころからそんな感じで考えてきたような気がする、と。(9「新聞の未来」より)
(2007/4/9更新)
|