酒本舗

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五月の酒と本(一)

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最近飲んだ酒 近頃読んだ本
酒一石

酒一石(秋田)
純米吟醸生酒
720ml/1400円


北千住にある「成田酒店」の店頭の貼り紙を見て購入。日本名門酒会加盟店の有志で結成した「東京酒林会」が、秋田の天寿酒造に依頼し総量一石の小仕込みで造った純米吟醸である。天寿酒米研究会産の契約栽培米「秋田酒こまち」を100%使用(55%精米)。なでしこの花から分離した酵母で醸している。上品で華やかな上立ち香は、恐らくブラインドで10人中9人が大吟醸と答えそうな程。それでいて味わいにくどさはなく、後味の残り加減も絶妙だ。すっきり軽い飲み口なので何杯飲んでも飲み飽きない。その証拠に、近頃では珍しく四合瓶を一晩で空けてしまった!さすがに酒にうるさい酒屋達がオリジナルで造っただけのことはある。敢えて苦言を呈するなら、ラベルデザインにも気を遣ってほしいところ。ちなみに肴は日本橋の三越B1で閉店間際に買ったお弁当と、コンビニで買った烏賊の塩辛に温泉卵、そして馬肉の燻製。

天声人語の七年

天声人語の七年
750字で考えた日々

白井健策

新聞にコラムを毎日書くということは、結局は自分自身を徹底的にさらけ出すことにほかならず、それは暴挙ともいうべきものである、ということがよくわかる。(「はじめに」より)
「毎日、休みなしに書いてます」というと、驚く人が多かった。だいたい、この欄は複数の記者が交代で書いていると思っている読者が多い。(第一章「とにかく毎日書く」より)


「天声人語」と言えば新聞コラムの代名詞、入試問題にも登場する“文章のお手本”的存在だ。休刊日を除く毎日ということで、当然複数の記者による当番制だと思い込んでいたが、本書によると基本的に書き手は一人。原稿用紙二枚程の字数で、来る日も来る日も手際よく旬な話題を採り上げていく技はまさに職人芸。森羅万象何を採り上げても全国にはその道の専門家がいるため、余程表現に気を配り慎重に下調べをして臨まないと、翌日には異論反論の手紙が山の様に届くというから大変だ。
中でも印象に残ったのは「昨今、映画を見たことがないという人はいないだろう・・・」と何気なく書き起こした一文に対し、視力障害者のために毎日「天声人語」を朗読しているボランティアの人から、この日は書き出しがあまりにも残酷で読めませんでしたとの手紙が届き、頭をがーんと殴られた様な衝撃を受けたとの下り。読み聞かせの題材となる「天声人語」だからこそ、そこまでの配慮が必要になる訳だが、文章を生業にする者としては他山の石とすべき話だ。

ひとりで書いている、と聞くと、それは不合理だ、第一、疲れるでしょう、過重労働じゃありませんか、という人がいる。大変なのはたしかである。楽だとは言わない。だが、何年も担当していると、面白いもので、書き続けるうちに、ひとりで担当することにも意味がある、ということがだんだんとわかってくる。
ひとことで言うと、署名はないが、実質的には、これはごく個人的な欄なのだ、ということである。
(第二章「『天声人語』とは」より)


(2007/5/1更新)

 
 
   

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