| 対論・日本のマスメディアと私たち
野田正彰・浅野健一
野田 本来、教育だとかジャーナリズムに携わる人は日々、社会認識が深くなっていかなければならないのに、その世界に長くいればいるほど、表層的になって、意味不明な人間になっていくというのは情けないことです。(第一章「新しいジャーナリズムを創るために」より)
「JR福知山線脱線事故」「北朝鮮拉致問題」「附属池田小事件」「イラク日本人拘束事件」等近年に起きた事件を具体例に挙げながら、マスメディアが内包する構造的弊害について、それぞれ精神科医と元共同通信記者の肩書きを持つ二人の論客(現大学教授)が分析。戦争にまつわるメディアの歴史や新聞記者の労働環境にも触れつつ、主に報道被害の問題に光を当てている。
例えばイラクで人質になった三人に対し、国内メディアのほとんどは大なり小なり政府の「自己責任論」に与した感があるが、海外メディアから見ると彼らへのバッシングぶりは相当異様に映ったという。確かに近頃は有名人・無名人に関わらず、“池に落ちた犬は叩け”的な風潮で煽られているなと感じる事件は少なくない。単に分かりやすいとか歯切れが良いというだけで、正論らしき強者の論理だけがまかり通る世の中って、結構危険な匂いがする。
浅野 別に広告主からの圧力とか、権力からの圧力とか、書いたら警察に捕まるということは全くないはずなのに、自己検閲、セルフセンサーシップ、悪い意味での自主規制が行われている。これはマスコミ幹部の責任がすごく大きいと思います。自分を大事にする世代の若い記者たちが、この状況をうまく変えて欲しいなと思います。(第一章「新しいジャーナリズムを創るために」より)
(2007/5/5更新)
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