| 職業としてのジャーナリスト
ジャーナリズムの条件1
筑紫哲也(責任編集)
好奇心。ジャーナリストの条件、求められる資質について、いろいろなことが言えるだろうが、全てのことはそこから始まる。(中略)
よきジャーナリズム、よき市民社会を支えるのは究極のところ、一人ひとりのジャーナリスト、市民の資質であり、なかでも「志」だと私は思う。(総論・筑紫哲也「ジャーナリストとは何者か」より)
80余名のジャーナリストが,報道の現場からジャーナリズムの課題と可能性を問う全4巻シリーズの第1巻。ジャーナリストとは一体何者であり、何を成し得るのかを、新聞・テレビ・雑誌の現場で活躍する記者・ディレクター達が実体験を例に挙げながら、メディア再生への提言を自らの言葉で行っている。
「防衛庁リスト事件」「沖縄返還密約事件」「薬害エイズ問題」「水俣病問題」「豊島産廃報道」等、例示されている各事件の重み、そしてこれらと正面から向き合った執筆者達の苦闘の跡が、職業としてのジャーナリストが持つ社会的使命、志の大切さを浮き彫りにする。一方でサラリーマン向け夕刊紙が、権力への猜疑心と下世話な批判精神を論拠に、自らを「針小棒大ジャーリズム」と位置づけその存在意義を軽やかに主張した一章も興味深かった。
職業としてのジャーナリストに欠かせないのは、(1)何でも探求しようとする知的好奇心(2)公正で正義の社会をつくろうとする志(3)最底辺の弱者の視点(4)あきらめないで最後まで取材する執念(5)困難な事態でも何とかなるさという楽観性、の五点だと思う。
一本の記事が読者を感動させるし、つもりつもって世の中を変える。私はジャーナリストになって三〇年を越すが、虹を探して毎日ワクワクしている。(伊藤千尋「ジャーナリストは何を伝えるのか」より)
(2007/5/9更新)
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