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車坂(和歌山)
純米吟醸無濾過生原酒17BY
720ml/1400円
和歌山県清水産の山田錦を100%使用。平成17年度醸造の純米吟醸無濾過生原酒を約一年以上寝かせた軽めの熟成生酒である。精米歩合は58%。利き猪口に注ぐと予想以上に濃いめの琥珀色で、口に含むとやや酸味の存在が強く、独特の濃醇な味わいが感じられる。寝かせる前はどんな味わいだったのだろうか。いずれ折を見て、新しい醸造年度のものを味わってみたい。なお蔵元の吉村秀雄商店は大正4年(1915)創業。当時からの土壁蔵で昔ながらの酒造りを行っている。代表銘柄は「日本城」。
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池波正太郎劇場
重金敦之
「花ぶさ」でも「新富寿し」でも、カウンターの隅を好んだ。定連となっても、定連を誇示するようなことは嫌った。「新富寿し」によく同行した女性の話だ。ネタがよく見える正面の席に座りたいと言っても、「ここでいいのだ」といって、隅のネタがみえない席を選んだという。正面には、長く通い続けている年輩の定連客がいつも座ることがわかっていたからだ。((4)「食卓の演出家たち」より)
東京出張の際、三回に一回は浅草に宿を取る。無論、池波ワールドの物語空間に浸るためだ。浅草は氏が育った街で、ご贔屓の店も少なくない。西浅草にある「池波正太郎記念文庫」では、書斎が生前のままの佇まいで再現され、肉筆の原稿を間近に見ることができる。ああこの界隈を鬼平や秋山小兵衛が歩いていたのだなと、物語の中の様々なシーンを脳裏に浮かべつつそぞろ歩くのは実に心地よい。
ただ残念なことに浅草の夜は早く、いつものペースで仕事を終えて宿に戻ると、お目当ての店はほとんどが閉まっている。そんな時は当てもなく浅草寺の境内をぶらぶらし、冬場ならコンビニのおでんでも買い込んで、宿で寂しくカップ酒を飲むことになる。だから結局浅草に宿を取っても仕方ないのだが、少し間が空くと無性に行きたくなるから困ったもんだ。
人それぞれによって、多様な読み方ができることこそが、池波文学の真骨頂であり、「池波正太郎劇場」の舞台を楽しむ観客の特権である。まあ、いってみれば、本書は「池波正太郎劇場」の「プログラム」みたいなものかも知れない。(「あとがき」より)
(2007/7/11更新)
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