酒本舗

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七月の酒と本(五)

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越乃柏露

越乃柏露(新潟)
特別純米酒
1800ml/2650円


第77回(平成18年)関東信越国税局酒類鑑評会「燗審査の部」入賞酒とのことだが、季節柄冷やで戴く。新潟県産の五百万石を60%精米した、適度な品の良さと力強さを併せ持つ、バランスの取れたすっきり系の中辛口純米酒である。蔵元は宝暦年間(1750年代)創業という長い歴史を誇る、長岡市の柏露酒造。「つゆしゃぶCHIRIRI」東京汐留店にて、五段仕込のつゆで味わう名物の豚しゃぶしゃぶ、お造り、京漬物と共に。

鴨川物語

鴨川物語 哀惜新選組
子母澤寛

小石の間をそちこちと縫って流れて行く水が白い糸のようである。その一筋一筋に東山の若緑がほのかに香をうつしてやがて京洛の春はたけなわになる。
その鴨川の三条河原に、よしず張りの東に向いた一棟、三つに仕切ってその三つに揃いも揃って、同じ髪結の床見世が出ていた。
(「三人髪結」より)


昭和39年、子母澤寛が亡くなる4年前に当たる72歳の折に刊行された作品。新選組研究の原典・定本として、後世の作家・研究者が大いに恩恵を被った「新選組始末記」を発刊したのが昭和3年のこと。36年後になって、初めて長編小説の形で新選組を描いたことになる。
とは言ってもその存亡にスポットを当てる意図はない様で、三条河原で髪結いを営む三兄弟や、京を彩る花柳界の女達の目線から近藤、土方、あるいは敵方に当たる西郷、桂、伊藤(博文)、井上(聞多)等の事績と日常を紡いでいる。本来一番の見せ場である池田屋事件はさらりと触れる程度だし、山南の切腹や沖田の喀血に至っては全く描かれていない。そうした血なまぐさい逸話よりも、近藤らと芸妓達との色恋沙汰に重点が置かれており、新選組を題材にした小説としては異例の、飄々とした基調の作品である。

「兄弟三人、鴨の河原に見世を出し、こんな事になる迄は、そんなに長げえ歳月でもなかったが、これから先き、河原でのあれやこれや忘れる事も出来ねえだろう」
「はっはっ、鴨の河原の三人髪結、後世の人がどう伝えるかな」
「ろくな話では残るめえさ」
とろとろっとしたら、やがて夜が明けて、新選組の人達は俄に忙しそうに動き出した。
(「或る雨の日に」より)


(2007/7/19更新)

 
 
   

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