| 売れないのは誰のせい?
最新マーケティング入門
山本直人
・・・最近のクルマのCMで、典型的な「平和な家族」の風景をどれだけ見たことがありますか?
段々と、家族が遠景に遠ざかっていく。それがクルマCMの現在に思える。姿が見えなくなったわけではないけれど、二〇〜三〇年前と比較すれば、その違いは明らかだろう。「消費による幸せ」を象徴する商品で、典型的家族がいなくなってきた。(第3章「急増した『日本人の種類』」より)
「4P」の説明から始まったので、ああフレッシュマン向けの教科書的な入門書なのね〜と本を閉じかけたが、実際は80年代から静かに起き始めていた消費社会の地殻変動を、広告の流れと共に判りやすく論じた興味深い本。著者がほぼ同世代(但し写真を見る限り年下とは思いたくない・・・)ということもあってか、読んでいて納得感を覚えた箇所も少なくない。
マーケティングとは「他者を知る人間学」であり「日本人の潜在的な活力を次代へ向かわせるテコ」である、というのが著者の結論である。物を効率よく売るためのツール・ノウハウとしてだけではなく、社会に明るさと前向きな動力を与える「知恵の集積」としてマーケティングを捉えている視点が共感できた。そう。マーケティングの力で世の中を明るく元気にできるなら、それに越したことはないから。
もう、幻のような心の豊かさを追いかけるのは考え直した方がいいのではないか。みんなでいい物を産み出し、いいサービスを提供して、適切な対価を得て、稼いだお金で欲しい物を買う。人が生きていく根底にはそうした単純な循環がある。
これからマーケティングに関わる人は、そうしたシンプルなメッセージを発して欲しい。冷静に「他者を知る」ことを続けていけば、いまの日本人がまだまだ潜在的な活力を持っていることも見えてくるはずだ。(終章「他者を知るということ」より)
(2007/9/27更新)
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