酒本舗

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十月の酒と本(七)

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坤滴

坤滴(京都)
純米
1800ml/2625円


「坤滴」(こんてき)とは土から生まれた滴という意味。原料米は、鳥取県の農林大臣賞受賞農家である田中農場で有機栽培された山田錦を60%まで磨いている。炭の使用を抑えたため色は山吹色。口当たりは軽快で洗練された趣だが、しっかりと苦味の利いた通好みの辛口タイプ。蔵元は伏見の東山酒造(有)で、黄桜酒造の子会社でもある。新橋の立ち飲み「吟」にて玉ひも煮と共に。

コーチ

コーチ
マイケル・ルイス著/中山宥訳

「人間には、ここから半径十キロ以内にいる連中がひとりとして知らない種類の才能がある。“ガッツ”だ。それをわれわれはきょう、全身で示した」
そのあと、ぼくにウィニングボールを投げてよこし、「マウンド上であれほどの度胸を見せた男は見たことがない」と言った。
メジャーリーグの有名投手−キャットフィッシュ・ハンターやローリー・フィンガーズ、そのほかおおぜい−の球を受けた経験のあるフィッツが、おまえはもっと上だとほめてくれたのだ。
(p.34〜35)


100頁程の薄い本だが、問いかける中身は濃い。手短に云えば「自分の弱さを直視し打ち克つ気構えの大切さを全力で生徒に教え続ける老コーチ」の生き様を、「マネーボール」の著者で元教え子である作家が、郷愁を込めて描いたルポ風エッセイである。
昨今のいじめの問題を見ていると、学校生活や教育指導の現状に親が細かく目配りする大切さを思う。ただ「今こそ親の出番だ」というタイミングの見極めが難しい。私自身も小・中・高と息子の部活動の監督に意見した経験を持つが(小うるさい父親だ・・)、相手の言動に信念を感じた場合は、多少考えは食い違っても、相手をプロとして尊重し任せる気持になれるものだ。
「『子供がなるべくつらい思いをしないように』とばかり気づかう親は、知らず知らずのうちに、その子供が人生でえらべる選択肢の幅を狭めている」(p.73)
この一文を自戒の念としつつ、子供達の成長を見守っていきたい。

「自分の弱さを直視できるだけの強さがない者は、たくましい戦士にはなれない」
人生には、あきらめるための安易な言い訳がいくらでもころがっている。そのすべてに打ち勝って、自分の道を切り開いて進む姿勢の大切さ。それがフィッツの言う“肝心なこと”なのだ。
そういう気構えを生徒に教え込む才能が、フィッツにはある。しかし最近は、才能を封じられてしまっている。
「なにしろ、おれが何かやろうとするたびに、親が口出ししてくるんだ」
(p.57)


(2007/10/28更新)

 
 
   

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