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ぼくには数字が風景に見える
ダニエル・タメット著/古屋美登里訳
数字はぼくの友だちで、いつでもそばにある。ひとつひとつの数字はかけがえのないもので、それぞれに独自の「個性」がある。11は人なつこく、5は騒々しい、4は内気で静かだ(ぼくのいちばん好きな数字が4なのは、自分に似ているからかもしれない)。堂々とした数字(23,667,1179)もあれば、こぢんまりした数字(6,13,581)もある。333のようにきれいな数字もあるし、289のように見映えのよくない数字もある。ぼくにとって、どの数字も特別なものだ。(「青い9と赤い言葉」より)
サヴァン症候群とアスペルガー症候群という自閉症に近い脳障害を持つ著者は、対人コミュニケーションがうまく取れず、物事の細部に異様なこだわりを見せたり、些細な事でパニックを起こすなどの“生きにくさ”を抱えている。一方で数字の羅列が美しい風景に見えるという不思議な共感覚を持ち、独自の言語感覚によって10ヵ国語以上を使いこなす。その当事者が自らの生い立ちと絡めつつ、脳の中に浮かぶ独特な風景や心情を平明かつ素直に文章化したのだから、面白くない訳がない。言ってみれば、天才の頭の中をのぞくような感覚だ。
ある程度の期待感はあったが、それを超える興味深い本だった。
「67657486953587」
そして終わったという合図をした。ぼくは、πの小数点以下二二五一四桁まで、ひとつの間違いもおかさず暗唱したのだ。そして五時間九分というイギリス及びヨーロッパにおける新記録を達成した。
見学者たちが大歓声をあげ、サイモンが駆け寄ってきてぼくを抱きしめたのでびっくりした。(「πのとても大きな一片」より)
(2007/12/1更新)
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