| なぜ若者は「半径1m以内」で生活したがるのか?
岸本裕紀子
選手のみなさんは僕らに勇気をくれました。
試合を観て、元気とパワーをいっぱいもらいました。
感動をありがとう、といいたい!
もうあまりにお馴染みのフレーズである。・・・(中略)・・・よく聞くフレーズだし、流行っぽい表現だから口からふと出てしまうだけかもしれない。が、それにしても、勇気とか、感動とか、日常生活ではめったに経験することがないような感情の表現を、あまりに安易に使いすぎるとは思う。(第五章「『半径1mでまったり』が好きな若者たち」より)
本書によれば、最近の若い人達(10代後半〜20代前半)の間では、男性の車離れが進み、パリやニューヨークよりも温泉旅行の方が人気で、都会より「地元」が好きで、職人を目指す人が増え、若い女性の高級ブランド品離れが進み、マンガ雑誌を読む人が減ったらしい。
これらの表面的な現象だけ取り上げれば、自分の若い頃とさして変わりはない。団塊世代ならいざ知らず、周りを含めて振り返っても、ギラギラした野心家はいなかったし、海外旅行なんて話題にも上らなかったし、ブランド品に興味はなかったし、東京に住みたくもなかったし、毎晩の様に友人達とファミレスでうだうだと、他愛もない話をしていたものだった。あの頃にもしケータイがあったら、今の若い連中と変わらない生き方・考え方を二十数年早く実践していただけのことだろう。
「半径1m以内」は、現代の若者を象徴する言葉だが、決して否定的に用いているわけではない。こぢんまり生きる、人と比べない、身の丈にあった暮らしを求める、日本のよさを見直す、自分にとっての幸せの軸を打ち立てる・・・・・・。それこそが、競争社会という大変な状況の中で彼ら自身が身につけたサバイバル術かな、と感じている。(「おわりに」より)
(2007/12/7更新)
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