酒本舗

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三月の酒と本(五)

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大正の鶴

大正の鶴(岡山)
特別純米無濾過生原酒
1800ml/2625円


岡山は真庭市にある落酒造場(1893年創業)で醸した、無濾過の特別純米生原酒。地元産の朝日米を60%精米した、濃醇でボディこそあるが口当たりが優しい+6.5度、酸度1.7の辛口タイプ。無濾過の生にしては重すぎることなく、スッキリ感もあって飲みやすい。
三宮の「味工房さくら亭」にて。肴は蛤の小鍋立て、上ミノの唐揚げ、ハタハタ、焼そば。

官能小説の奥義

官能小説の奥義
永田守弘

いずれにしろ、性交描写は官能小説のハイライトであろう。ここに至るまでの描写も、読者の淫心をかきたてる重要な部分だが、着地点は予定されているのである。・・・(中略)・・・男性器を女性器に挿入するという、単純な行為を、いかに濃密に、淫靡に、いやらしく描くかが、作家によって競われる。毎回同じ表現では飽きられてしまう。つねに差別化を図らなければならない。(第二章「性交描写の方法」より)

優れた官能小説は下手なAVより猥褻だ。扇情的な会話や痴態の描写、的確なオノマトペ表現を通じて、リアリティ溢れる情景の数々が鮮やかに浮かび上がって来る。そもそも直裁的な性行為だけでなく、「読む」という行為を快楽に繋げられるのは人間だけの特権であるが、ビジュアルの力を借りず純粋に文章だけで読み手を欲情させるには、実のところ相当な筆力の裏付けが必要だろう。
そんな官能小説の奥義を、様々な角度から分析したのが本書。過去の名作の文体考察に始まり、性器・性交の描写、フェチの分類、ストーリー展開へと考察を進め、最後はご丁寧に「官能小説の書き方十か条」で締めくくっている。著者は新聞・雑誌に新作の官能小説を紹介しているこの世界の第一人者で、「官能小説用語表現辞典」まで編纂した程のプロの読み手であるから、厳選された数々の例文を一読するだけでも、豊穣な日本語表現の世界が大いに堪能できる。

考えてみると、小説は性行為に似ている。男女が知り合い、キスから愛撫が始まり、長い前戯を経て性交という結末に至る展開は、小説そのままだ。性行為の盛り上がりは、小説の盛り上がりと、大筋において同じなのである。文体や物語構成によって、内容が違ってくるだけである。(第四章「ストーリー展開の技術」より)

(2008/3/12更新)

 
 
   

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