酒本舗

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三月の酒と本(十)

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最近飲んだ酒 近頃読んだ本
越乃雪椿

越乃雪椿(新潟)
吟醸おりがらみ無濾過原酒
720ml/1170円


ラベルに「春あがり ひと寝かせ」とある通り、搾った新酒を無濾過のまま1ヶ月半ひと寝かせした、吟醸造りのおり絡み生原酒。地元産の五百万石を60%磨いて、千年悠水で仕込んでいる。ひと夏寝かせた“秋あがり”の酒というのはよく聞くが、春あがりというのは珍しい。
酒器に注ぐとフレッシュな上立ち香が広がり、ファーストインパクトも華やか。ただし味自体は意外にキレがある中辛口で、原酒にしては軽快でスッキリした後味が特徴。肴はいくら丼と蛍烏賊の沖漬け。蔵元は世界鷹小山家グループの一員で、箱麹造りにこだわる文化3年(1806)創業の雪椿酒造。

スポーツニュースは恐い

スポーツニュースは恐い
刷り込まれる〈日本人〉

森田浩之

女子選手の私生活に目を光らせるスポーツニュースは、彼女たちが結婚しているかどうかに特別な関心を寄せる。女子選手が結婚すると「ミセス」「奥さま」とうれしそうに呼び、出産でもしようものなら、すぐに「ママさん選手」と呼びはじめる。
これも女子選手だけに向けられる偏ったまなざしだ。「パパさん選手」と呼ばれる男子選手はひとりもいない。
(第2章「女子選手に向けるオヤジな目線」より)


「スポーツニュース=男優位の偏見と固い思考枠にとらわれたオヤジ」として擬人化し、その視点から世のスポーツ報道の中に深く静かに満ち溢れている偏った世界観を分析した書。あとがきにあるように、著者は親の仇だと思って言葉をねちねちと読み込む“ディスコース・アナリシス”の手法を用いながら、スポーツ記事を執念深く読み込み論旨を構築している。その結果、スポーツニュースという取っつきやすいテーマでありながら、「メディアリテラシーの重要性」について世の中に警鐘を鳴らすユニークな本に仕上がった。
著者は元ニューズウィーク日本版の副編集長ということもあり、豊富な記事例を挙げながらジャーナリスティックな視点で分析を進めている。だからこそハンカチ王子の名が全て斎藤「裕」樹になっているという初歩的なミスが残念。(「佑」が正解。編集者も気付いてあげようよ。)

スポーツでめざましい活躍をしたヒーローは、社会の「シンボル」になるという。ちょうど宗教儀式でたてまつられるシンボルのような存在だ。そこには社会が大切にしている道徳的価値観が投影され、シンボルごと称賛される。
価値観は抽象的なものだから、それ自体を称賛するのはむずかしい。でも価値観が人のかたちをとれば、みんなでそれを再確認し、称賛することができる。
(第3章「スポーツニュースは〈人間関係〉に細かい」より)


(2008/3/27更新)

 
 
   

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